第八話 誰の目にも触れさせたくなくて

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<スキー> 無理。 無理すぎ。 スキー、本当に無理なんだけど!!!!! 帰りたい!!!! 唯一3人班の私たち。 有紗と神崎くんはセンスがあるらしく、少しの指導で滑れるようになった。 私は何度教わっても体が言うこと聞かないし、何よりスキー板の上で立つことすらままならない。 「真帆!! いけるよ!!」 「無理〜」 「藤原さんにも苦手なことがあるんだね。可愛い」 有紗と神崎くんに支えられながら移動の練習を続けていると、そのうち浅野先生も私たちの班に合流した。 「ここ3人だから僕も仲間入りするね!」 とまぁ、余計なことを……。 インストラクターと有紗と神崎くんと浅野先生。 4人が私の指導を行うという構図が出来上がる。 2人は上から滑ることができるくらいになっていたのだが、班行動が故に、私も滑れるようにならないと2人も上に上がれない。 どうやら、私が足を引っ張っているようだ。 「藤原さん、大丈夫。僕らが支えるから」 そう言いながら左に浅野先生、右に神崎くんが付いた。 「…………」 どういう状況……。 早川先生が見たら噴火しそうな状況に少し焦りを覚えるが、正直今はそんなこと気にしている場合では無い。 一刻も早く滑れるようにならないと……。 そう思いながら、他の人に気付かれないように横目で早川先生の姿を探す。 遠くに見えた早川先生の隣には……津田さんの姿があった。
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