第八話 誰の目にも触れさせたくなくて

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<東京観光> 地獄のスキー研修は無事に終了した。 最終的に私は、緩やかな傾斜の有る場所から自力で滑れるくらいにまで成長した。 私の中ではベストだ。 一方、有紗と神崎くんと浅野先生は、リフトに乗って高いところから軽快に滑っていた。 それを見学していたのだけど、3人が一緒に滑ってくる様子を見た時は物凄く鳥肌が立った。上手すぎて本当に驚いた。 そして、いよいよ修学旅行最終日。 私たちはバスに乗って移動し、東京駅に来ていた。 「今日は自由観光です。14時に東京駅に集合。それさえ守ればどこに行っても構いません。もし何かありましたら、各自携帯電話で私に電話をして下さい。番号登録していますよね? もしまだの人がいれば、早急にお願いします」 1組担任の飛谷先生が学年主任。 飛谷先生は全員の前でそう説明し、生徒たちは解散となった。 「真帆、どこ行く!?」 目をキラキラさせている有紗。 大まかなことは事前に決めていたが、ある程度は行き当たりばったりでも良いよねと話していた。 どこ行こう……というか、早川先生と浅野先生は本当にデートするのだろうか? そう思いながら辺りを見回す。 「……あっ」 少し離れた場所に2人は立っていた。 しかも、浅野先生が早川先生の肩に腕を回している。 ……何で? 呆然と2人を眺めていると、突然頭を掴まれて回された。 「こーら、真帆ちゃん? 見すぎだよ!!」 「……え?」 有紗だ。 私、そんなに見てた? 首を傾げると有紗は私の耳元で囁いた。 「早川先生が浅野先生とデートするって言ったでしょ? それなら気にせず、私たちは私たちで楽しもうよ!!」 ……そうだね。折角の東京だし。 「…楽しもうか、有紗!」 「その意気だ!!」 取り敢えず適当にどこかへ向かおうと歩きだすと、津田さんとその友達が走って目の前を通り過ぎた。 「ん?」 2人が向かった先は、早川先生と浅野先生のところだった。 「…………」 一緒に行こうと誘っているのだろうか? 早川先生は顔を横に振り続け、浅野先生は早川先生を抱き寄せながら、津田さんに向かって手を振っていた。 「…何あれ。津田さん、まだ先生のこと諦めてないの? 本当に嫌な感じ」 「津田さん、思っていた以上に脅威だよ」 早川先生も浅野先生も、誘いを断っているみたい。 先生2人がくっついている意味は全く分からないけれど。 「…………」 モヤっとする。 浅野先生、くっつきすぎ。 津田さんに対してとはまた違う、モヤっとした気持ちが芽生えた。 「…………」 あれ、もしかして。 気付いてしまったけれど。 この気持ちって、早川先生が良く言う『僕は的場さんにも嫉妬してしまいます』というやつと同じなのでは!? 「うわー…………」 「…ん? 真帆、大丈夫?」 「…あ、うん」 思わず自分で自分に引いてしまった。
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