バナナムシ大量発生!!

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 店にいる客達は皆それが雨雲だと思った。ブウウウンというエンジンの唸るような音、塊が宙を這う様に近づいてきて初めて黄色い羽虫の集団だということに気づき、先ほどまで惣菜売り場でお喋りに興じていた主婦達も工具を見繕っていた老夫婦も、走り回っていた子供達も誰もが言葉を失った。虫の群れはまるで意志を持って人々を攻撃しようとしているかの様に、強化ガラスと自動扉にバチンという音を立てぶつかってくる。  叫び声を上げる人、逃げ惑う人々、泣き出す子供、巨大カートに取り残され吠える大型犬——。店内は阿鼻叫喚の地獄絵図の如き様相だった。  店員の制止を振り切り駐車場に逃げ出した男性が虫の群れに襲撃を受け目を抑えて悲鳴を上げ蹲った。続いて外に出た老人も襲撃を受けて仰向けに倒れた。 「何とかしろ‼︎」  鬼瓦善二はおどおどしている若い男の店員を怒鳴りつけた。 「何とかと言われましても……」  店員は情けない声を出した。善二はいつも店に行く度従業員に口癖の様に言う言葉を放った。 「全くどいつもこいつも役に立たない、店長を呼べ‼︎」
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