あゆちゃんからのお誘い

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あゆちゃんからのお誘い

咲希との関係を悩みながらも仕事をしてるとあゆみから電話がかかってきた。 「どうした?」 「咲希ちゃん、そろそろギプス外れるかな?って」 「今日、外せたぞ」 するとわぁーいいタイミングだぁーと言い出した。 「なんだいきなり」 「ギプス外れた記念で、マキのお店でご飯でも食べられたらなぁ〜って。マキのご飯美味しいから。それに私、旦那さん出張で来週までいなくて寂しくてさぁ〜」 「そうなんだな」 俺とご飯を食べるよりも女性同士の方がいいのかもしれない。マキちゃんはあゆみの幼馴染で実家だった飲食店をリニューアルオープンさせたばかりだ。色んな人と関われるチャンスなのかもしれない。俺も1人になってこれからの咲希との関係を考えるか… 「なんか声暗いけど、咲希ちゃんと何かあった?」 「いゃ…まぁ…俺がヘタレだったばかりで、ちょっと拗れてる」 「へぇ〜大輔がヘタレなんて笑える。マキに言っちゃお〜そんなヘタレだと嫌われるよ〜じゃあ咲希ちゃん誘ってみるから。じゃーね」 そう言ってあゆみは切ってしまった…きっと咲希ちゃんに電話して誘おうんだろう。書類を1件整理してる最中にあゆみからメッセージが届いた。 〝咲希ちゃんからOKもらったからマキのお店に行ってくるね。仕事が終わったら咲希ちゃん迎えに行くから、大輔も仕事が終わったらおいで。待ってるよ〜〟 こういう時あゆみの存在は咲希にとってはいいだろう。まぁ…最初は俺と夫婦だと勘違いして悩んでいたが…そういえば咲希の誕生日っていつだろう?保険証に記載してあった生年月日をちゃんと見ていなかったことに気がついた…もしかしたら過ぎてる?かも知れないが…あゆみに念の為、お酒は飲ませるなと伝えた。それと…咲希の誕生日を教えて欲しいと…案の定あゆみからは保険証見たのにチェックしてなかったの?誕生日過ぎてたら怒るからねと怒ってるスタンプが送られてきた。本当にヘタレだな俺は…咲希にもメッセージを送った。 〝あゆみから聞いたよ。マキちゃんのお店で美味しいご飯を食べておいで。あゆみが迎えに行くから用意して待っててね。俺との話し合いは明日でもいいから。咲希に伝えたいことがあるんだ。その思いを聞いてほしい〟 咲希がこれを読んでどう思うかわからないが…今日はみんなで楽しんで欲しい。まだまだ少食だけどみんなで食べたら美味しからな。俺は咲希を気にしながらも仕事を再開させた。 〈side 咲希〉 いつの間にか眠ってしまった……そういえばギブスが外れてスッキリしてる腕を眺めていたらメッセージが届いた。大ちゃんからだと思ったら、あゆちゃんからだった。あゆちゃんのお友達のお店で一緒にご飯を食べようって書いてあった。食欲はあまりないけどあゆちゃんに会いたい。シャワーを浴びて持ってきた服の中で気に入ってたワンピースに着替えた。大ちゃんからもメッセージが届いていたけど、何て返事をしていいのかわらずに返事はしなかった。時間もあったので大ちゃんの書斎から本を1冊持ってきた。その本は星の写真集で星座がいっぱい載っていた。そう言えば、明日は20歳の誕生日になるんだと思い出した。それなのに大ちゃんとは気まずい関係になってしまった。ハグもおでこやほっぺにキスはするのに唇にはしない。やっぱり大人の関係になんかならないのかも知れない。大ちゃんはさっき会った西条さんみたいな大人の女性があってるもの…彼女はいないって言ったけど、大ちゃんなら選び放題だと思う。だって健吾さんよりもずっとかっこいいもん。そんなことを考えていたらチャイムが鳴ったのに気がついた。インターフォンを出ると画面にはあゆちゃんが映っていた。 「咲希ちゃん支度できた?」 「はい。下に降りますね」 そう言って玄関に鍵をかけてエレベーターで降りるとエレベーターの前にはあゆちゃんが待っていてくれた。 「咲希ちゃんかわいい。今日行くお店はね、私の幼馴染がやってるお店なの。実家の定食屋を改装しておしゃれなバルにしたのよ」 「凄いですね。でもあゆちゃんバルってなに?」 「バルってね、ヨーロッパをイメージにした洋風居酒屋って感じかな。昼間はお父さんとお母さんがそのまま定食屋やって夜からは彼女が居酒屋をやってるのよ」 「楽しみです」 「じゃあ行こうか」 あゆちゃんと初めてのバルがあるお店に向かった。
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