大ちゃんの気持ち

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大ちゃんの気持ち

「咲希?まだ何か気にしてる?気になることがあるなら教えて?」 私は疑問をぶつけてもいいのだろうか?と悩んでいるとぎゅっと抱きしめられた。大ちゃんの胸に顔を埋めるとムスクの香りが広かった。 私は大ちゃんに急に寂しくなることがあって、不安になって心が苦しくなることがあることを伝えた。もう10年前の出来事なのに親に捨てられた夢を見てはうなされる日があることを… 「咲希は小さな頃から辛いことをいっぱい経験したんだ。本当ならたくさんの愛情をもらって幸せになれるはずだったのに…でもこれからは俺が咲希に愛を教えてあげる。いつか咲希が大ちゃんの愛は重すぎるって言う日がくると思うくらい。俺は咲希になら俺の持ってる全てをあげられる。お金もマンションも車も俺の愛も…持ってるものはなんでも、咲希は何が1番に欲しい?」 「いつまでも愛し、愛されて幸せになりたい」 「じゃあそうなるようにお互い努力はしよう。咲希は俺が好き?」 「好きです」 「うん。その気持ちがまずは一番だから、まずは嘘はつかない。辛いとき、苦しいとき、悲しいときは俺に伝えて?わかった。じゃあ朝ごはんにしよう俺が作るからシャワー浴びてさっぱりしておいで?」 「えっ…ご飯?」 「期待させちゃった?でもまだ覚悟もないでしょ?俺に愛される自信が…ならこれから伝えるのが先でしょ?もう少しだけ我慢するからさ。じゃあ支度して、天気もいいからドライブして、プレゼント買いに行こう。」 そう言って大ちゃんはさっさとベットから降りてしまった。期待よりもたしかに不安の大きかった私は少し気持ちが安堵してシャワーに向かった。 シャワーから出ると大ちゃんがおにぎりとお味噌汁を作ってくれていた。温かくて優しい味がして、このまま大ちゃんと一緒にいてもいいのかな?本当に大ちゃんは私を…私だけを愛してくれるのかもしれない。疑わずに大ちゃんを信じようと心の中で誓った。これから幸せになるために… 幸せは人それぞれ感じ方が違うと思う。私はもう1人ぼっちにはならないことが幸せにつながる。でも大ちゃんのことを信じないとまた卑屈な自分が現れて、どこかに消えてしまいたいと思ってしまう。 ねぇ大ちゃん、2人で幸せになりたい。だからずっと一緒にいてください。なんてまだ声に出して伝えるのは難しいけど、大ちゃんからの愛をちゃんと受け取れるように…嘘はつかないで寂しい時には寂しいって言おう。辛くなったら、悲しくなったら…今日から20歳だけど人からの愛情に飢えてる私は10歳の頃のあの時と変わらないんだから……
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