TINBOT(ブリキのロボット)

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 まったく動かないボクのブリキのロボット。  死んでしまったのだろうか?    子どもの頃から一緒に遊んできたボクのブリキのロボット……  物心がついてから、いや、その前からボクとロボットは一緒だった。遊ぶときも、寝るときも、お風呂のときだって。  ボクはロボットを触っていると安心するんだ。ママには「子どもっぽいからやめなさい」っていわれるけど。  ある日、ロボットをいじっていると、もの凄い武器があることに気がついた。ボクはロボットの新しい能力の虜になり、以前よりロボットをいじることが多くなった。  何年かして、ボクはロボットの武器を他人相手に試してみたくなった。  初めての対戦相手は、お金を出してプロにお願いした。  初戦は歴戦の玄人の胸を借りた方が良いと思ったからだ。  ロボットの武器を人にぶっぱなすときは、天国にも昇る快感がボクを貫いた。  それから何年も、ボクとロボットは対戦相手を求めて、いっしょに旅をしてきた。  50年もロボットと一緒に戦って、今までの相手とは格が段違いに高い人と戦おうとしていた。  しかし、ロボットが全然動かない。  ボクはパニックになりながら、ロボットをさすったり強くつかんだりしてみたがダメだ。 「どうしたんだ、TINBOT?」  ボクは昔から呼んでいる名前で、ロボットに小声でささやいた。  結果は不戦敗。  半年がかりでやっと口説き落としたキャバ嬢が悪態をついた。 「そんな役立たずティンボ、犬にでも喰われちまえ!」  神様、ボクとボクのTINBOT(ティンボ)、また天国に逝かせてください。 (了)
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