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一人芝居『下町親父の恋愛指南』 後編
〈明転〉
下手玄関から入り下駄箱に靴をしまう。
中央の娘に向かって
「ただいま」
中央の娘の顔を覗きこむ
「おい! どうした?
何で泣いてんだ?
腹でもイテエか?
なに? ラブレターを相手の下駄箱に入れたら、下駄箱を間違えて他の奴に渡った?
そいつがイヤな奴で、そのラブレターをみんなの前で読んだ?
みんなが『昭和女』って冷やかしたって?
クソ、ウチの娘の恋心を笑いやがって!」
怒りに肩を震わせながら玄関に向かう
止められて振り向く
「バカヤロウ!
そいつをす巻きにして、言問橋から隅田川にぶちこんでやる!」
娘に後ろから羽交締めに止められる
後ろの娘の表情を見て驚く
「何泣きながら笑ってんだ?
えっ?
その後、お前の好きな男がみんなの前でお前をかばってくれたって?
オマケにいつまでも泣いてるお前を心配して、家まで送ってくれたって?
それじゃ、それ、嬉し涙か?」
ゆっくりと仏壇に向かう
背を向けているが、泣いているように見える
「母さん、今日も赤飯だな」
〈暗転〉
〈明転〉
下手玄関から入り下駄箱に靴をしまおうとすると、中に手紙があるのをを見つける
手紙を読む
「バカヤロウ! 照れるじゃねえか」
手紙を大事に折りたたみ、仏壇に供える
〈幕〉
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