夜の校舎

3/3
前へ
/11ページ
次へ
暗がりの中だったので、清原先生の表情は、よく分からなかったが、先生は、震える声で言った。 「、、分かりました。でも、北沢さん、どうか、死なないで下さい。若いんだから、きっと、生きていれば、いいことがあります、、」 あたしは、死にかけのあんたに言われても説得力ないよ、、と思ったが、仕方なく答えた。 「じゃあ、まあ、今日は死にません。いつか、きっと、死ぬけど。先生も、一応、死なないで下さいね」 あたしは、申し訳のように付け加えて、夜の校舎から、誰も待っていない一人の家に帰った。 それから、あたしは、学校へ行かなくなった。 どうせ死ぬのに、何を学んだって、無駄だ。 ずっと、学校を休んでいた。 清原先生が、自殺したという話は、聞かなかった。 なのに、清原先生は、様子を見にさえ来なかった。 それもそのはず。 風の噂で、清原先生は、学校を辞めた、と聞いた。 清原先生は、死ななかった代わりに、全てから逃げたのだ。 死にたい、あたしを見捨てて、、。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加