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暗がりの中だったので、清原先生の表情は、よく分からなかったが、先生は、震える声で言った。
「、、分かりました。でも、北沢さん、どうか、死なないで下さい。若いんだから、きっと、生きていれば、いいことがあります、、」
あたしは、死にかけのあんたに言われても説得力ないよ、、と思ったが、仕方なく答えた。
「じゃあ、まあ、今日は死にません。いつか、きっと、死ぬけど。先生も、一応、死なないで下さいね」
あたしは、申し訳のように付け加えて、夜の校舎から、誰も待っていない一人の家に帰った。
それから、あたしは、学校へ行かなくなった。
どうせ死ぬのに、何を学んだって、無駄だ。
ずっと、学校を休んでいた。
清原先生が、自殺したという話は、聞かなかった。
なのに、清原先生は、様子を見にさえ来なかった。
それもそのはず。
風の噂で、清原先生は、学校を辞めた、と聞いた。
清原先生は、死ななかった代わりに、全てから逃げたのだ。
死にたい、あたしを見捨てて、、。
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