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ゆり子さん?
あたしは、ずっと一人で、家にいた。
他に行くところなどなかったからだ。
学校に行かなくなって、三ヶ月が経った。
そんな、ある日。
ひょっこり、、と言うのが、適しているように、母親が、久しぶりに、家へ戻ってきた。
あたしは、なんだか、びっくりしてしまった。
母親が、あたしを見るなり言った。
「あなた、学校に行ってないんでしょう? 勉強、どうするの? 大学には、行かないつもり?」
どの口が、こんな当たり前のことを言う。
あたしは、そう思った。
ずっと、放っておいて、今さら、母親面するな!
あたしは、無視した。
でも、母親は、続けた。
「ずっと、放っておいたのは、悪かったわ。でも、仕方なかったの、、。あなたに会うのが、怖くて、、。軽蔑してるでしょう、お母さんのこと」
あたしは、初めて、母親に聞いた。
「、、急に、どうして帰って来ようと思ったの?」
母親の表情が、パッと明るくなった。
「それは、ゆり子さんに言われたから。いくら会うのが、怖くても、あなたのところに帰った方がいいって」
ゆり子さん?
初めて聞く名前だ。
「ゆり子さんって誰?」
あたしは、訊いた。
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