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くろい
ぼくは黒が好きだ。幼い頃から黒い洋服に身を包んでいる。シックだとか、ミステリアスでは片付けられない。なので、大人になった今、黒い家を建てた。黒い仕事で黒い金を手にして。黒い食事を取りながら、家全体の黒さに悦に入り、これから刑務所に黒い経歴を残しにゆく。
「ここは最高だが、黒い家には敵わない」それをずっと他の受刑者にいい続けた。ぼくは黒いことしかしなかった。黒いことしかいわなかった。黒い看守にしかいうことを聞かなかった。そしてぼくはあれだけ焦がれていた黒い家に帰ることなく黒い施設で死んだ。
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