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その日の夜のニュースでは、大学内のガス管が腐食、漏れたガスが充満し数人の学生が中毒で倒れたと…。
全員軽症で入院した人はいなかった。
「みんな無事で良かった…」
『今回は間に合ったな…
ところで、あの女性は大和にとって大事な人なのか?』
ハニワンのいきなりな質問だ。
「…幼馴染みで…大切な人だよ
人見知りで何も出来ない僕を常に引っ張ってきてくれたんだ
考古学を目指す切っ掛けも彼女がくれたんだよ」
『ほう…恩人って事か?』
恩人でもあるけど、僕は彼女を…。
「そうだ、ハニワンに一つ聞きたい事があるんだ…
あの剣って、悪しき魂を斬っても一緒に取り付かれた人は斬れないよね?」
悪しき魂を斬る度に取り付かれた人の心配をしていたが、気絶はするが斬れてはいなかった。
『あの剣は悪しき魂を滅ぼす事だけを目的に打たれた物だ
人間に当たったとしても痛みだけで斬れる事はない』
「そうなんだ、…少し安心した」
どういう仕組みかは分からないけど、ハニワンが言うなら間違いないだろう。
悪しき魂と一緒に人も斬っちゃったら僕は立ち直れないと思う。
その日の夜は寝ようと思っても眠れなかった。
もし、僕じゃなく違う人が埴輪マンになっていたらもっと沢山の人を救えるんじゃないか?
あの時、あの場所にもっと強い人がいたら、博士も救えたんじゃないか?
本当に僕で良かったんだろうか?
答えの出ない悩みが浮かんでは消えていく。
それは意識がなくなるまで続いた。
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