埴輪マン2 大和の苦悩

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「おはよー、西条! 何か昨日はえらい事になってたんだな 麗香ちゃんも被害にあったんだろ?」 大学へ行くと野口は昨日の事件の話を始めた。 「う、うん 軽症だったみたいだね」 「なんだよ、あれから連絡してないのか?」 野口に背中を叩かれた。 「そ、それは…」 「大和!」 ほぼ同時に後ろから呼ばれた。 振り向くと彼女が駆けてきた。 「…昨日は、お昼一緒に出来なくてゴメン!」 僕の前で頭を下げた。 「い、いや、それより…身体大丈夫?」 「うん、身体はピンピンしてるけど、全然覚えてないのよね 何であんな所に行ったのかも分からないのよ」 彼女は首を捻るだけだった。 『権力者の使い』は本当に記憶を操作出来るんだ。 「西条は心配で探しに行ったんだぜ」 「ちょっ!…野口!」 僕は顔が赤くなるのが分かった。 「あ、ありがとう…、心配してくれて… 今日はちゃんとお昼一緒に食べようね! あ、良かったら野口くんも一緒に…」 「へいへい、どうせ俺は西条のオマケですよ」 野口がへりくだった。 「あ、あの…藤…、れ…麗香ちゃん…」 「え?やっと名前で呼んでくれた!」 彼女は満面の笑顔を見せた。 「ごめん、僕がもっと早く見付けていれば… あんな事には…」 「何で大和が謝るのよ! 大和が通報してくれたから助かったんだよ」 実際には僕より早く通報した人もいたんだけど…。
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