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今度の事件もニュースにはならなかった。
被害者は事故死と発表される。
「またか…」
ハニワンの話だと、『時の権力者』は常に悪しき魂を隠しておきたいらしい。
今なら日本政府になるんだろうか?
「人の死を何だと思ってるんだ…」
僕はいろんな意味で悔しかった。
『大和、お前の気持ちも分かるが、無念の死は別に悪しき魂の件だけではないだろ?
人間はいつの時代も戦争を起こす…
巻き込まれて死ぬのは常に弱き者だ
例え全ての悪しき魂を滅したとしてもそれはなくなる事はない…』
「…分かってるよ」
ハニワンの言ってる事は正しい。
頭では理解出来ても気持ちが着いていかないのが現状だ。
悪しき魂との戦いはそう多くはない。
普段は大学で講義を受けたり、バイトしたりと普通の生活を送っている。
「なあ…、ハニワンは何故あの古墳で埴輪の中にいたんだ?」
亡くなった松井博士と発掘していた古墳は、古墳としては新しい平安時代の物で、その後の調査では何も見つからなかったそうだ。
『あの時に退治を頼んだ男は少し変わっていてな、私の力を使わずに悪しき魂と戦っていた』
そんな事が出来る生身の人間がいるのか?
「その人は、どうやって戦っていたんだ?」
『その者は陰陽道とか言う不思議な術を使っていたな』
古墳が作られた平安時代に陰陽道って言えば…。
「まさか、その人って安倍晴明?」
『うむ、そんな名前だったな
しかし、彼も人間だ…
寿命が近いとかで、あの場所に悪しき魂を集めて封印したんだ
その時に私もあの人形に封じられた』
あの石室の封印はそういう事だったのか。
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