埴輪マン2 大和の苦悩

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今度の事件もニュースにはならなかった。 被害者は事故死と発表される。 「またか…」 ハニワンの話だと、『時の権力者』は常に悪しき魂を隠しておきたいらしい。 今なら日本政府になるんだろうか? 「人の死を何だと思ってるんだ…」 僕はいろんな意味で悔しかった。 『大和、お前の気持ちも分かるが、無念の死は別に悪しき魂の件だけではないだろ? 人間はいつの時代も戦争を起こす… 巻き込まれて死ぬのは常に弱き者だ 例え全ての悪しき魂を滅したとしてもそれはなくなる事はない…』 「…分かってるよ」 ハニワンの言ってる事は正しい。 頭では理解出来ても気持ちが着いていかないのが現状だ。 悪しき魂との戦いはそう多くはない。 普段は大学で講義を受けたり、バイトしたりと普通の生活を送っている。 「なあ…、ハニワンは何故あの古墳で埴輪の中にいたんだ?」 亡くなった松井博士と発掘していた古墳は、古墳としては新しい平安時代の物で、その後の調査では何も見つからなかったそうだ。 『あの時に退治を頼んだ男は少し変わっていてな、私の力を使わずに悪しき魂と戦っていた』 そんな事が出来る生身の人間がいるのか? 「その人は、どうやって戦っていたんだ?」 『その者は陰陽道とか言う不思議な術を使っていたな』 古墳が作られた平安時代に陰陽道って言えば…。 「まさか、その人って安倍晴明?」 『うむ、そんな名前だったな しかし、彼も人間だ… 寿命が近いとかで、あの場所に悪しき魂を集めて封印したんだ その時に私もあの人形(ひとがた)に封じられた』 あの石室の封印はそういう事だったのか。
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