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午後の講義も頭に入らなかった。
こんなんじゃあ、松井博士みたいな考古学者にはなれないな。
「はぁ…」
「西条、パアッと飲み行こうぜ!
嫌な事は飲んで忘れちまうのが一番だ!」
野口は僕の肩に腕を回し、笑顔で僕を連れ出した。
野口に連れられ居酒屋に入った。
「…飲んだくらいで忘れられる訳ないだろ?」
「…当たり前だ
忘れる必要もない…、けど、少しは心が軽くなるだろ?」
野口にそう言われて気が付いた。
そうだ、落ち込んでても何も始まらない。
「うん、今日は飲もう!」
「その調子だ、飲もうぜ!」
その夜は久しぶりに心から笑った。
翌日、ハニワンの指環をはめた。
『やる気になったのか?』
「やる気…とは違うかもね
でも、僕がヒーローをやる事で救える人がいるなら…やるしかないよ!」
まだ、完全に納得出来た訳じゃないが、今はヒーローをやる事で先に進める気がする。
「大和~♪」
大学の近くで後ろから名前を呼ばれた。
「えっ?」
振り向くと幼馴染みの藤原麗香が手を振りながら駆けてきた。
「ふ、藤原さん?」
「ちょっとぉ、前みたいに名前で呼んでって言ったでしょ!」
彼女とは家も近く、小中学校は同じクラスで、高校は違う高校だったが大学で再会した。
「いや、でも…」
「そうだ!お昼は一緒に食べようね!」
彼女はそう言って、友達の方へ駆けていった。
彼女は僕と違い子供の頃から明るくクラスの人気者だった。
頭も良くて、中学のテニス部では主将も勤めた。
僕よりもよっぽどヒーローに相応しいと思った。
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