埴輪マン2 大和の苦悩

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彼女を斬るなんて僕に出来るのか? 剣を構えたまま動けなかった。 「ウガァー!!」 「グォーッ!!」 操られた人達が僕の身体を押さえ付けてきた。 「くっ!放せ!」 五、六人にしがみつかれ、さすがに動けない。 「グギャーッ!」 彼女が叫んだ。 『覚醒が始まるぞ!』 「藤…、麗香ちゃん!」 僕は彼女の名前を叫んだ。 「…や、…や、ま、と…」 一瞬だが彼女から黒い気配が薄くなった。 操られた人の力も緩み、束縛から抜けられた。 『大和!今しかないぞ!』 「うん、魂力注入!」 鎧が金色に輝く。 「グァーッ!」 また彼女の覚醒が始まった。 僕は剣を振り上げ斬り掛かる。 「麗香ちゃーん!魂滅!」 「ギャーッ!」 悪しき魂を切り捨てると、黒い気配は消え去った。 「麗香ちゃん!麗香ちゃん!」 倒れている彼女に駆け寄った。 『気を失ってるだけのようだ』 「良かった…」 僕は心の底から安堵した。 操られていた他の人も気を失って倒れている。 「…みんな無事みたいだね」 『人がくる!…去るぞ』 ハニワンが人の気配に気付いた。 僕は彼女の事が心配だったが、一旦この場を離れ、119番に通報した。
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