両想い

3/4
前へ
/27ページ
次へ
嘘の無いその言葉を、きちんと言葉にできた。 心臓がドキドキする…。 緊張しているのか、体が震えて止まらない。 それでも、頑張って言葉を継いだ。 「雨が降ると、先輩の心も泣いています。そんな先輩の心が…何だか心配です」 「…先輩。先輩の心、私でも晴らせますか…?」 「美久ちゃん…」 嬉しそうに微笑み、また強く抱きしめられた。 その先輩の腕は少しだけ震えている。 「あの時、見つかったのが美久ちゃんで良かった…」 「……」 抱きしめられたまま、先輩に耳元で囁かれた。 「ねぇ美久ちゃん。君が傍に居てくれるだけで、俺は心が晴れる気がするんだ。そんな美久ちゃんのことが好きで、傍に居て欲しいと願っているんだけど…どうかな」 この前も言われた…私のことを好きになっているかも、という言葉。 あの時は気のせいだと言って突き放したけれど…。 「……」 小さく頷いて、先輩の言葉を肯定した。 「美久ちゃん…良いの?」 「…先輩こそ」 「俺は、美久ちゃんが良い」 「………」 再び頷いて、抱きしめてくれている先輩の体に…そっと手を回す。 初めて触れた先輩の背中は…とっても……大きかった。 先輩の体に顔を埋めながら、横目で窓の外を見る。 さっきまで降っていたはずの雨は止み、雲の隙間から少しだけ太陽の光が差し込んでいた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加