慌てるのはそれをしらないからなのかもしれないのに

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「酔えなかった」  家に帰ってからさっきのビールが嘘だったみたいにスッキリとした気分だ。なので冷蔵庫から追加のビールを取って窓辺に座って缶を開ける。  五回の告白を一日で受けて、流石に返事をしないとならない。メンドーだから全部断りたい気分。だけどうれしくなかった訳じゃない。そして選ぶ権利は私にある。  不思議なもので普段は酔うのが楽しくて、美味しいビールなのに、今日は苦くてパニックだったのが冗談のように落ち着く。  考えをまとめた時にはもう窓から見える街は静まり返って、月だけが明るさを保っている。 「告白を受けることにしました」  私は一言だけの言葉を相手に伝えて、他はちゃんと断った。なんだか、とても清々しい気分。因みに相手は占い通り、元から考えなくても有った。  苦いビールを飲みながら月を眺めてた。  誰かの走る足音が聞こえて見ると良い返事をした人がいる。 「一目会いたくなった」  その言葉だけを残して直ぐに居なくなる。 「照れるな」  笑い語るけど別に悪いことではないからまた月を眺めては喜んでみると嬉しさは遠いところに続いてた。 おわり
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