慌てるのはそれをしらないからなのかもしれないのに

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 朝の報道番組の最後にある占いが終わったら家を出て仕事に向かうようにしている。別に気になっているからじゃなくて、単純に時計代わりにしているだけだった。だけど今日はちょっと違ってふとその見入ってしまった自分が居る。  昔からこんな占いはあんまり信じない。だって簡単な星座占いだから。私の星座は生まれ月の関係で母親と同じだから、同じ運命が待っているなんて考えられない。  なのに今日はなんだか違う気分で解説まで聞いてしまっている。それは今日の占いで自分の星座が一位だったからなのか。でも、そんなことは多々有って、考えたら十二分の一なんだから当然だ。 「不思議だ」  占いについ見入ってしまって番組が終了して、次の情報番組が始まるまでずっと見ていた。まあ数分なので急ぐことはない。だけど、自分が何であんなに見てたのかは謎だ。 「今日はとてもハッピーで驚きが待っている日。人生の分岐点にいるかもしれません。特に恋愛は最高。慌てないでちゃんと考えれば答えは有ります」  なんとも抽象的。確実なのは恋愛だということ。それこそ私には無縁なのに。  大学を出て地元で普通に事務員をしている私。もう友達なんかは次々に結婚をしている。そんな年齢だけど、私の恋愛事情なんてとても悪い。  これまでに付き合った人はいない。告白をされたことなんてのもない。別の世界の話だと思ってた。  もちろん片想いくらいはしていたけど、それだって自分から告白するほどの、勇気? と言うか、必死さはなかった。 「あれ? 違うか」  駅に歩きながら考えていると、ふとそう呟いて立ち止まったけど、また直ぐに歩き始める。単なる独り言だ。  その理由は、付き合った人と告白されたことに関して。私が思ったのは両方がゼロではなくて半分くらいならあるということ。自分で考えながらも付き合った人が0.5人と言うのに笑ってしまう。  だけど、本当に半分くらいにしかカウントできない。もしかしたら他の人ならそれすらも数えないのかもしれない。  だって、その恋愛とはまだ幼い幼稚園の頃だからだ。近所の幼馴染の男の子に「好き」って言われて「私も」と答えた。すると「結婚したい」なんて言うから「そうだね」って返事が続いていた。全く、甘い思い出だ。  あれをカウントするとすればやはり半分だろう。あの頃は本当にそう思っていただろうし、幼い恋心を忘れても自分が可哀そうだし、だから半分だけカウントする。  だけど「こんな歳になって恋愛はあれだけか」と職場についてパソコンを開くと、ため息と一緒に堤谷居てしまった。  いつも通りの日常。占いみたいに驚くようなことはない雰囲気しかない。  まだ会社には人は少なくってのんびりしている。私はこんな時間にいつから有るのかわからない花に水をやる。別に業務ではないけど、なんとなくだ。
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