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 聖女様とヒューゴしか見えていなかったなんて、恥ずかしすぎてヒューゴの胸に顔を伏せた。 「……ヒューゴ、ごめんなさい」 「ん、いいよ。やきもち妬いてるエリサを初めて見れたからね」 「恥ずかしいから、もう言わないで……っ」  王都に戻ると凱旋パレードや祝賀パーティーに出席するのが面倒くさいから、帰ってきたと聞いて目を丸くした。 「魔王討伐したからいいでしょ」 「それっていいの?」 「うん、いいの。あの二人もエリサが見たいっていうから勝手に付いてきただけだしね」  聖女様と魔法使いに挨拶すると、抱きついて離れないヒューゴにひとしきり笑ったあと帰っていった。新聞社は任せておいてねと微笑んだ聖女様と魔法使いが美しくて、そしてなによりお似合いだった。  改めてヒューゴと向き合う。青色の瞳にまっすぐ見つめられて、私もまっすぐ見つめ返す。 「エリサ、魔王討伐したよ」 「うん、ヒューゴ凄い! 本当にすごい……っ」 「エリサ、嬉しい?」 「うん! もちろん! ヒューゴ、本当にありがとう」 「ご褒美くれる?」  こくんとうなずくと、ケモ耳が近づいてくる。もふもふのケモ耳を撫でると、ヒューゴの唇が耳たぶに触れた。 「もっとエリサを補充していい?」 「もう、しょうがないなあ」 「ありがとう、エリサ」  両手を広げてヒューゴを見つめると、突然、横抱きにされて使ったことのない夫婦の寝室に運ばれた。そこからは好きな人としか絶対できない初めてが始まって──… 「俺たち白い結婚じゃなくなったから、離婚できないね」  鳥のさえずりで目を覚ました私にヒューゴが嬉しそうに話すから、私は恥ずかしくてヒューゴの胸に顔を埋めた。  おしまい
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