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「ヒューゴ様が勇者様であると神託がくだり、大神官猊下自ら迎えにきております」 「…………え」 「ヒューゴ様は今日の内に発たねばならないでしょう」 「えっ、ヒューゴが勇者で……うそ? えっ、今日に発つ……? え?」  頭が真っ白になった。ヒューゴが勇者様ってどういうこと? 今日には発つってしばらく会えないってこと? ううん、勇者様は魔王を討伐するために魔王城がある世界の果てに行くこと。  魔王はものすごく強くて、もちろん勇者様も強いけど、勇者様が死んだ時は違う勇者様が現れて、何人もの勇者様が挑んでようやく魔王討伐を果たす。それって……つまり、死んでしまう勇者様もいるってこと?  ──ヒューゴが死んじゃうかもしれないってこと?  ひゅ……  喉から変な音が鳴った。心臓がばくばく鼓動する。ヒューゴに会えなくなるなんて、考えたことなかった。ずっと一緒に過ごしていたから、ヒューゴのいない世界なんて想像もできない。  こんな時に自分の気持ちに気づくなんて、泣きそうになってしまう。  馬車が止まった。沢山の神官に囲まれているヒューゴを見て、勇者様に選ばれたのが本当なんだと実感する。 「エリサ」  神官たちを置いてヒューゴが私のところに近づいて、ぎゅっと抱きしめられた。 「エリサ、俺、勇者に選ばれた」 「うん……セバスチャンさんに聞いた」 「そっか。今からすぐに王都に発つんだ、聖女と魔法使いも待ってるって」
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