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ようやく、ようやーくヒューゴの唇が離れて、鼻にキスが落とされる。
「エリサを補充できた!」
「もう……っ! ヒューゴのばか、オオカミのケダモノ! 外なのに、みんな見てるのに……っ、もう……、ばかばか!」
息の上がったままヒューゴをじとりと見つめて、胸を叩いて文句を言う。初めてだったのに! ばか!
「え、なに……罵りも可愛すぎるとか。俺の嫁、かわいい……っ!」
「っ! そ、それ! ヒューゴ、私達まだ十六歳だから結婚できないんじゃないかな?」
「エリサと結婚できないなら勇者やめる」
「え!?」
目を丸くする私に、大神官猊下の声が掛けられた。
「勇者様が憂いなく魔王討伐に向かえるようにするのが我々の使命です。お二人の愛なら神もお許しくださるかと」
「話の分かる大神官猊下で助かるよ」
「今から勇者様の婚姻の儀を執り行い、それから発ちましょう」
急遽、大神官猊下にヒューゴと私の婚姻の儀を執り行ってもらうことになった。
「エリサ、俺と結婚してください」
ヒューゴはそう言うと跪き、私の指にヒューゴの瞳と同じ色の宝石がついた指輪を指にはめた。サイズがぴったりの指輪。
「……どうして指輪があるの?」
「エリサの誕生日が来たら、プロポーズするつもりだったから肌身離さず持ってた。俺だと思って、今からエリサに身につけててほしい」
「ありがとう」
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