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「寝る前と起きた時に挨拶して。嬉しいことがあったら教えてほしいし、楽しいことがあったらキスして、それから寂しいときは話しかけてほしい」 「ふふっ、うん、ヒューゴだと思うね……!」  ヒューゴの優しさが胸に広がっていく。大神官猊下に促されて二人で並ぶ。 「勇者ヒューゴ・ウルーフ、エリサ・センプリチが夫婦となったことを宣言する」  大神官猊下の言葉で、足もとで虹色の光が浮かび上がる。私とヒューゴを包み込むように虹色の輪が煌めいた。 「エリサ、すぐに魔王を倒して帰ってくるから。行ってきます──奥さん」  ちゅ、と鼻にキスを落として、ヒューゴは魔王討伐に発った。    ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭*    魔王討伐の旅をする勇者一行の活躍は、新聞が大々的に伝える。私は、ヒューゴの活躍を見るたびに胸が熱くなり、心配で肝を冷やし、それからヒューゴにもらった指輪に話しかけていた。  婚姻の儀を行ってから三年が経った頃、ヒューゴ達は無事に魔王討伐を成し遂げた。  ヒューゴに会える……!  そう思って胸を震わせていたのも束の間、新聞がヒューゴと聖女様の仲睦まじい様子を次々報道するように。聖女様は、この国の第一王女でとても愛らしい兎獣人。ふわふわな金色の髪に、赤い瞳、真っ白なうさ耳は見る者すべてを魅了する。  最初は気にしていなかったのに、お互いを見つめあう姿や手を取りあう姿を見て、胸にもやもやが広がっていく。それも半月を超えた辺りから、命をかけて旅した二人に恋が芽生えても仕方ないのでは? と思うようになっていた。  銀髪青目のオオカミ獣人で勇者のヒューゴと金髪赤目の兎獣人で王女かつ聖女様──お似合いすぎる、と。
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