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5
満足そうに笑いながら、鼻にキスをされる。これが薬草採取に行く前のルーティン。迷子になりたくないヒューゴに手を絡めるように、ぎゅっと繋がれて歩きはじめる。
すごい心配性で甘えん坊のヒューゴを見ていると、きっと獣人にも色々いるんだろうなって思う。
「あっ、エリサ。ヘディークの花があっちに咲いてるよ。行こう?」
「うん!」
しばらく歩いているとヒューゴが教えてくれた。狼獣人のヒューゴは鼻が効くから頼りになる。手を引かれて行くと岩陰に隠れるようにヘディークの白い花が一面に咲いていた。
「わあ……っ! こんなにヘディークの花が咲いてるなんて凄い。誰にも見つけられてないんじゃないかな?」
「エリサ、嬉しい?」
「うん! もちろん! ヒューゴありがとう」
「ご褒美くれる?」
ヒューゴを見上げてお礼をいうと、ケモ耳が近づいてくる。もふもふのケモ耳を撫でてあげると、肩に頭を預けられた。両手で耳の付け根や髪をしばらく撫でてから「おしまい」と告げる。おしまいを告げないと、ずうっっっと際限なく撫でなくちゃいけなくなっちゃうから。
「もう終わり……?」
「ヒューゴは甘えん坊さんだなあ。あと少しだけね」
「ん、エリサにだけ」
おでこをぐりぐり擦りつけるヒューゴが満足するまで撫で続けた後、私はヘディークの花を夢中になって摘んだ。
܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭*
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