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 三年通った学校を卒業した春、薬師見習いになって家の薬屋で働きはじめた。  今は、お父さん……じゃなくて、師匠から薬の作り方を少しずつ教えてもらっている。ずっと薬を作るのが夢だったから、夜に眠るのがもったいないくらい充実した日々を送っていた。  朝日の差し込む店内。お店の棚に手荒れに効く軟膏を詰めた缶を丁寧に並べていく。師匠にようやく合格をもらえた軟膏は、私の薬師デビューになる薬だから、なんだかキラキラして見えちゃう。 「エリサ、おはよう」 「おはよう、ヒューゴ! 頼まれていた手荒れの薬できてるよ……っ!」 「ありがとう、エリサ。沢山頼んだから大変だったでしょう」 「ううん! 沢山頼んでくれたから何回も作れて幸せだったよっ! ヒューゴのおかげだよ、ありがとう」 「こちらこそ、ありがとう。あれ? エリサ、これは頼んでいた手荒れの薬じゃないの?」    クリーム色にお花の焼き印が押された缶をヒューゴが指差したので、首を横に振った。 「これはお店で販売する分だよ。ヒューゴに頼んでくれた分はちゃんと別にしてあるから安心してね」 「そうなんだ。これもエリサが作ったもの?」 「うんっ! 師匠に合格もらえた初めての薬だから、嬉しくて沢山作っちゃった!」  私の言葉でヒューゴの耳がへにょんと下がっていく。困ったように眉が寄せられていく様子に慌てて声をかける。
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