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魔王復活から一ヶ月。隣の村に弱い魔物が現れた。まだ、この村には魔物は出てきていないけれど、それも時間の問題かもしれない。
育てられる薬草は庭で育てはじめたけれど、野生でしか生えない薬草も多くある。今日も炎症に効くツルラナという蔓植物をヒューゴと採りに出掛けた。
「はあ、早く勇者様が現れて、魔王討伐してくれたらいいのに……ねえ、ヒューゴ、近くに魔物いないよね?」
「うん、気配はないから大丈夫」
「よかった……ヒューゴありがとう」
ヒューゴの言葉に安堵の息をつく。
どの時代も魔王が復活するときに、必ず勇者が現れるという。早ければ数日後、遅くても一年以内に神託があると王家の書物に書いてあるらしい。まだ一ヶ月しか経っていないのに、村もピリピリした空気が流れている。
「エリサ、こっちから行こう。ルガモットの花が咲いてるよ」
「わあ、助かる……っ! ルガモットって毎年咲く場所が変わるから、今度探さなくちゃと思ってたの」
寄り道してルガモットを摘み、当初の目的のツルラナを採取ナイフで切って、籠にこんもり詰めた。今までは必要な分だけを採っていたけれど、今は多めに採ることで採取の頻度を抑えるように工夫している。
「あっ、エリサ、あの茂みを見てて」
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