好きだからこそ

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 のそのそと起き上がって寝室のカーテンを開けると、明るい光が部屋中に広がった。  どうやら、朝日とは呼べなくなった時間まで寝ていたらしい。 「あぁ、こんなに良い天気なのに」  昨夜から嫌な予感はしていた。  元気になっていることを願いながら寝たのに、まさか悪化しているなんて。  ダルいし、寒気がするし、節々も痛い。  取ってきたばかりの体温計を脇に挟み、ベットに仰向けで倒れ込んだ。  電子音が鳴るのを待っている間、天井を眺めながら昨日の出来事を思い出す。  ──そこは、慎也との待ち合わせ場所だった近所のコンビニ前。 『さっきまで一緒に歩いていた男は誰だ? ずいぶん仲が良さそうだったな』 『ただの同僚だよ。帰る方向が同じだったから、途中まで一緒に歩いてたの。……何、もしかして嘘だと思ってる?』 『……そんなことはない』 『嘘。信じてないでしょ? それなら明日出かけるのは中止しよう。今日ももう解散ね』  今は午前十時を少し過ぎたところ。  慎也はまだ寝ているだろうか。というか、家にいるだろうか。 「嘘でしょ。三十九、度?」  予想していたよりも高めの数字に、力ない声が溢れる。そのあと何度か測り直してみたけれど、ただただ現実を突き付けられただけだった。  間違いなく熱がある。しかも高熱。  ずっと楽しみにしていたのに、あんなことを言ってしまったバチが当たったのかもしれない。  体調管理がなっていないと言われればそうなのだけれど、それでもやっぱり落ち込んだ。調子が悪いと心まで弱くなる。  ──会って話がしたい。  メッセージだけでも送ろうと思ったけれど、スマホの充電が切れていた。昨日から本当にツイてない。  いつの間にか眠っていたようで、目が覚めた時には汗でびっしょりになっていた。  シャワーを浴びに起き上がろうとしたら、頭がクラクラしてペタンと座り込んでしまって。  あぁ、もう。  嫌な夢まで見てしまった。  真顔の慎也に「澪なんか、もう好きじゃない」と言われた夢。  目が覚めた時はホッとしたけれど、現実になってしまうのではと怖くなる。  なんとか充電中のスマホを手に取った。  連絡する勇気なんてなかったはずなのに、SOSのスタンプだけ送って病院に行く準備をした。

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