15人が本棚に入れています
本棚に追加
のそのそと起き上がって寝室のカーテンを開けると、明るい光が部屋中に広がった。
どうやら、朝日とは呼べなくなった時間まで寝ていたらしい。
「あぁ、こんなに良い天気なのに」
昨夜から嫌な予感はしていた。
元気になっていることを願いながら寝たのに、まさか悪化しているなんて。
ダルいし、寒気がするし、節々も痛い。
取ってきたばかりの体温計を脇に挟み、ベットに仰向けで倒れ込んだ。
電子音が鳴るのを待っている間、天井を眺めながら昨日の出来事を思い出す。
──そこは、慎也との待ち合わせ場所だった近所のコンビニ前。
『さっきまで一緒に歩いていた男は誰だ? ずいぶん仲が良さそうだったな』
『ただの同僚だよ。帰る方向が同じだったから、途中まで一緒に歩いてたの。……何、もしかして嘘だと思ってる?』
『……そんなことはない』
『嘘。信じてないでしょ? それなら明日出かけるのは中止しよう。今日ももう解散ね』
今は午前十時を少し過ぎたところ。
慎也はまだ寝ているだろうか。というか、家にいるだろうか。
「嘘でしょ。三十九、度?」
予想していたよりも高めの数字に、力ない声が溢れる。そのあと何度か測り直してみたけれど、ただただ現実を突き付けられただけだった。
間違いなく熱がある。しかも高熱。
ずっと楽しみにしていたのに、あんなことを言ってしまったバチが当たったのかもしれない。
体調管理がなっていないと言われればそうなのだけれど、それでもやっぱり落ち込んだ。調子が悪いと心まで弱くなる。
──会って話がしたい。
メッセージだけでも送ろうと思ったけれど、スマホの充電が切れていた。昨日から本当にツイてない。
いつの間にか眠っていたようで、目が覚めた時には汗でびっしょりになっていた。
シャワーを浴びに起き上がろうとしたら、頭がクラクラしてペタンと座り込んでしまって。
あぁ、もう。
嫌な夢まで見てしまった。
真顔の慎也に「澪なんか、もう好きじゃない」と言われた夢。
目が覚めた時はホッとしたけれど、現実になってしまうのではと怖くなる。
なんとか充電中のスマホを手に取った。
連絡する勇気なんてなかったはずなのに、SOSのスタンプだけ送って病院に行く準備をした。

最初のコメントを投稿しよう!