開くのは

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開くのは

 中学三年生の私は、友人の真夏(まな)と自室で電話していた。真夏がなにやらモグモグしているようなので、尋ねたら、皮付さきいかを食べているという。 「皮付さきいか、か……。  ね、それ、言い方変えるとチョー怖いんだけど。」 「え、なに? 言ってみて。」  私はしゃがれ声を出した。 「ーーそのイカは、皮付きのまま裂かれたという。そして、機械的に小袋に封入され、店頭の棚にさらされた……。  ね? スーパーって意外とグロくない?」 「悪の十字架?」  悪の十字架。  転じて、()くの10時か?  私たちが小学校の頃流行った言葉遊びだ。  私は即答した。 「いや、9時開店。」  ノリわるいー!電話の向こうで真夏が笑った。 「ははは、ごめん。  私のせいじゃないけどー。マジで9時だから!」  私たちは電話越しに笑い合った。  窓の外は真っ暗だ。  真っ黒と言ってもいいくらいだ。  私はそれを見ながら、友人と笑っていた。  
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