0人が本棚に入れています
本棚に追加
開くのは
中学三年生の私は、友人の真夏と自室で電話していた。真夏がなにやらモグモグしているようなので、尋ねたら、皮付さきいかを食べているという。
「皮付さきいか、か……。
ね、それ、言い方変えるとチョー怖いんだけど。」
「え、なに? 言ってみて。」
私はしゃがれ声を出した。
「ーーそのイカは、皮付きのまま裂かれたという。そして、機械的に小袋に封入され、店頭の棚にさらされた……。
ね? スーパーって意外とグロくない?」
「悪の十字架?」
悪の十字架。
転じて、開くの10時か?
私たちが小学校の頃流行った言葉遊びだ。
私は即答した。
「いや、9時開店。」
ノリわるいー!電話の向こうで真夏が笑った。
「ははは、ごめん。
私のせいじゃないけどー。マジで9時だから!」
私たちは電話越しに笑い合った。
窓の外は真っ暗だ。
真っ黒と言ってもいいくらいだ。
私はそれを見ながら、友人と笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!