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大学
長かった夏休みが終わり、久しぶりの大学はざわついていた。
教室を見渡した太陽は、瑠奈が学校に来ていないことに気が付いた。
どんな顔をして会えばいいのか、普通に接することが出来るのか、考えあぐねていた太陽は、少しだけほっとした。
いずれは山里にも話さなければいけなくなるだろう。
それを考えると、太陽は少し憂鬱になった。
1限目を終えたところで、太陽とは別の講義をとっていた山里が走って講義室に入って来た。
「おい、日下部」
「ああ、久しぶり」
「吉高、何で学校辞めたんだよ?」
山里の言ったことがすぐには理解出来ず、太陽は返事をすることができなかった。
「それ、真面目な話?」
「え? 日下部、知らなかった?」
「お前は? どこから聞いた?」
「クラス主任が話してるのを聞いた」
「じゃあ本当なんだ……」
「日下部、知らなかった?」
山里は同じことを再び聞いた。
「何も……」
瑠奈は、太陽の前から消えてしまった。
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