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奈帆と瑠奈が仲良くなったことで、学校側の配慮があったのか、2人は小学校の6年間を同じクラスで過ごした。
中学に入ってもそれは変わらず、2人はいつも一緒にいた。
瑠奈は小学校の頃から学校行事は全て不参加だったけれど、中学に入ってからはそれに加えて、学校を休むことも増えた。
そして、奈帆は公立の高校へ進んだが、瑠奈は通信制の高校を選んだ。
それでも2人の関係は変わることなく、奈帆は休日を瑠奈と過ごし、瑠奈が入院中は病院に通った。
奈帆にとって一番の友達が瑠奈のように、瑠奈にとっても奈帆が一番信頼する友達だった。
奈帆が高2の時のこと。
瑠奈が太陽のことを奈帆に話した。
「あのね、病院の帰りにバス停でいつも一緒になる人がいてね」
「うんうん」
「バス停のグラウンドでサッカーやってる人なんだけど……」
「だけどぉ?」
「いつもたくさんの友達と楽しそうにしててね」
「しててぇ?」
「奈帆!」
「ごめん。瑠奈から男の子の話聞くの初めてだから、わたしまで浮かれちゃって」
「そういうんじゃない」
「じゃあ、どういうの?」
「……見てるだけで幸せな気持ちになるの」
「へぇ〜。見てるだけでいいんだぁ」
「だって、わたしは……」
「わたし、初彼できたって言ったじゃん?」
「……うん」
「終わりました」
「ええっ?」
「仲良くなったからって、友達にしかなれないかもしれないし、お互い好きでも長続きしないこともあるんだから。試しに頑張ってもいいんじゃない?」
「そんな……」
「恋くらいしなよ! 話してみたら嫌なやつで、ゲーッってなるかもしれないし!」
「それは……」
「わかんないじゃん?」
「絶対そんな人じゃない……」
「だったら話してみたくないの?」
「話して……みたい。でも誰かを好きになるとか……」
「一度くらい恋したっていいじゃん!」
「……いいのかな」
「当たり前でしょ! 今度その人のこと教えて! その人の情報集めるから」
「集めるって?」
「どこの高校かとか、今彼女いるのかとか」
「そんなことできるの?」
「やってみないとわかんないけど」
「どうしよう……どきどきしてきた」
「瑠奈、かわいーっ」
「やめてよぉ」
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