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手紙
太陽がマンションに戻ると、ポストに封筒が入っていた。
差出人は、夏休みにバイトをした小学生の合宿を企画した会社だった。
部屋に入り封筒を開けると、森からの簡単な手紙が入っていた。
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夏休みは大変助かりました。
日下部くんと一緒に過ごした子供達からの手紙を同封します。
手紙が苦手な子からは折り紙が入っています。
日下部くんのことは、子供達だけでなく、親御さんからも好評でした。
良かったら来年も参加してください。
連絡します。
森 将人
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その手紙と一緒に、簡単なメッセージの書かれたいろんな紙といくつかの折り紙が同封されていた。
折り紙は折り鶴のような太陽でも知っているものと違って、恐竜やドラゴンように複雑なもので、時間をかけて折ってくれたのが一目でわかるようなものだった。
(森さんの言ってた「いいこと」ってこれか)
太陽は冷蔵庫からウーロン茶を持ってくると、飲みながら次々と手紙を読んだ。
『タイヨーお前と一緒で楽しかったぜ』
『たいようくんとつくったバームクーヘンおいしかった』
『お兄ちゃんとまた遊びたいです』
『たいようくんがピーマン好きって言ったから、もえも好きになったよ』
萌ちゃんからのメッセージを読んで、太陽の顔が自然と綻ぶ。
萌ちゃんは小3の女の子で、一番太陽に懐いていた。
みんなで石窯でピザを作った時、上にのせたピーマンが嫌いだと言っていた。けれども、太陽が自分はピーマンが好きだと言うと、「萌も好きになる」と言って頑張って食べてくれた。
苦そうな顔をして口をもぐもぐする萌ちゃんが可愛くて、食べ終えた後、太陽は萌ちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でて褒めた。
その時の萌ちゃんの笑顔が印象に残っていた。
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