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瑠奈の日記
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×月×日
奈帆がこのサイトのことを教えてくれた
更新がなくなったら1年で勝手に削除されるみたい
クリスマスはきっと迎えられないから、IDは希望にした
「公開」「非公開」が選べるようになってる
もちろん非公開
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×月×日
病院から入学式に向かった
でもそのおかげで日下部くんの視界に入れた!
「太陽」って書いて「たかやす」って読むんだって教えてくれた
知ってるよ
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×月×日
奈帆は入学式の日から入院
まだ大学に来れていない
お見舞いに行った
虫垂炎って聞いたけど炎症がひどくて入院が長引くって聞いた
「大丈夫」って言ってたけど心配
大学で一人でいるわたしに日下部くんが話しかけてくれた
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太陽は、入学式をサボったせいで、少し出遅れたものの、講義の初日には、周りの人間とはそれなりに話をして、数人と連絡先を交換した。
けれども、瑠奈の方は女子の輪に入っていけないのか、一人ポツンと席に座って誰とも会話しようとしていなかった。
今ならその理由が太陽にもわかる。
瑠奈はわざと友達を作ろうとしなかったのだということを。
来年、この教室に自分がいないことを知っていたから。
太陽は、誰とも関わろうとしない瑠奈が気になって、「一緒に昼を食べよう」と誘った。
学食でオムライスを頼んだ瑠奈は、その量の多さに困惑した。
共学のせいか、何もかも量が多いことを知らなかったためだったけれど、オムライスだから今更「ご飯を減らして欲しい」とは言えない。
太陽の正面に座って、途方に暮れた顔をしている瑠奈に、太陽は言った。
「多かったらさ、残したのちょうだい」
「食べてもらえたら嬉しい。こんなに多いって思ってなかったから。でも残したのだったら、食べかけになるから。最初から日下部くんが食べれる分取ってくれたら――」
「そんなの気にしないから。吉高が食べたい分だけ食べた後を食べるよ」
「嫌じゃない?」
「全然」
「ありがとう。残すのとか失礼だから嫌だったんだけど、全部は食べれないから、困ってた」
食べられないからといって、簡単に捨ててしまう人が多い中、瑠奈はそうではないことに太陽は好感を持った。
それから、太陽と友達の山里に加え、瑠奈も一緒にお昼を食べるようになった。
瑠奈は予め量を調整できるものを頼むようになったけれど、それでも食べられないことが多く、太陽を頼った。
ご飯を食べる時は、太陽と仲の良い山里も一緒だったけれど、瑠奈は他の誰でもなく太陽だけを頼った。
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