瑠奈の日記

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********************* ×月×日 入院 日下部くんには旅行って嘘をついた 奈帆が病院に来てくれた 日下部くんのことを話した そしたら奈帆に、学校では話すのはやめると言われた どうしてだかわからないでいたら、わたしのためだと言われた わたしのためなら、奈帆には一緒にいて欲しいのに ********************* ×月×日 またひとつ嘘をつく きっと今にばちがあたるね ********************* GWに入ると同時に入院した瑠奈の病室に、紙袋を持った奈帆が顔を出した。 「これ、日下部くんに」 「わぁ、奈帆やっぱり日下部くんとも仲良く――」 「違うよ。瑠奈、日下部くんに『GWは旅行に行く』って言ったんでしょ?」 「……うん」 「カレカノがお土産なしとかありえないから」 「でも……」 「わたしの家族旅行の話をするから、聞かれたらそのまま答えて」 「でも……」 「隠すって決めたんでしょ? 『GW遊びに行こう』って誘いを断るために『家族で旅行に行く』って言っちゃったんでしょ?」 「……うん」 「じゃあ、わたしの言うこと聞いて」 「日下部くんのこと好きなのに、嘘ばっかりついてる」 「わたしが許す!」 「奈帆?」 「瑠奈がどんなに嘘をついても、全部許す! だから、瑠奈は恋をして。だって、瑠奈、ここまでくるのにがんばったじゃん。嘘くらいついたって神様だって大目に見てくれるよ」 「……わたしの世界は、この白い天井と家の中だけだったけど、奈帆のおかげでいろんな物を見ることが出来たよ。ありがとう」 「まだまだこれからでしょ! 日下部くんともいっぱい楽しいことすればいいじゃん。それで、今度は瑠奈がわたしに話を聞かせてよ。あ、やっぱ聞かない」 「なんで?」 「他人のノロケ聞いても楽しくないもん」 「そっか……」 奈帆はしょんぼりする瑠奈を見て笑った。 「『他人』のはね。瑠奈は特別だから、いっぱい聞かせて。あー、でも大学で日下部くんの顔見たら『こいつこんなこと言ってるんだぁ』って笑っちゃうかも」 「それはやめて」
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