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×月×日
入院
日下部くんには旅行って嘘をついた
奈帆が病院に来てくれた
日下部くんのことを話した
そしたら奈帆に、学校では話すのはやめると言われた
どうしてだかわからないでいたら、わたしのためだと言われた
わたしのためなら、奈帆には一緒にいて欲しいのに
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×月×日
またひとつ嘘をつく
きっと今にばちがあたるね
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GWに入ると同時に入院した瑠奈の病室に、紙袋を持った奈帆が顔を出した。
「これ、日下部くんに」
「わぁ、奈帆やっぱり日下部くんとも仲良く――」
「違うよ。瑠奈、日下部くんに『GWは旅行に行く』って言ったんでしょ?」
「……うん」
「カレカノがお土産なしとかありえないから」
「でも……」
「わたしの家族旅行の話をするから、聞かれたらそのまま答えて」
「でも……」
「隠すって決めたんでしょ? 『GW遊びに行こう』って誘いを断るために『家族で旅行に行く』って言っちゃったんでしょ?」
「……うん」
「じゃあ、わたしの言うこと聞いて」
「日下部くんのこと好きなのに、嘘ばっかりついてる」
「わたしが許す!」
「奈帆?」
「瑠奈がどんなに嘘をついても、全部許す! だから、瑠奈は恋をして。だって、瑠奈、ここまでくるのにがんばったじゃん。嘘くらいついたって神様だって大目に見てくれるよ」
「……わたしの世界は、この白い天井と家の中だけだったけど、奈帆のおかげでいろんな物を見ることが出来たよ。ありがとう」
「まだまだこれからでしょ! 日下部くんともいっぱい楽しいことすればいいじゃん。それで、今度は瑠奈がわたしに話を聞かせてよ。あ、やっぱ聞かない」
「なんで?」
「他人のノロケ聞いても楽しくないもん」
「そっか……」
奈帆はしょんぼりする瑠奈を見て笑った。
「『他人』のはね。瑠奈は特別だから、いっぱい聞かせて。あー、でも大学で日下部くんの顔見たら『こいつこんなこと言ってるんだぁ』って笑っちゃうかも」
「それはやめて」
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