瑠奈の日記

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********************* ×月×日 名前を呼ばれた 名前を呼んだ くさかべたかやすくん ずっと心の中では呼んでたけど 口に出すのは初めて ********************* 太陽と山里、瑠奈の3人で食堂に行くと、席に着くなり山里がからかってきた。 「2人さぁ、何いきなり付き合っちゃってんの?」 「いいじゃん」 太陽は気にすることもなく、定食についていたお味噌汁を飲んだ。 瑠奈の方は下を向いてずっとパスタをフォークでくるくるしている。 「まぁ、仲がいとは思ってたけどさ。よく一緒に帰ってたもんなー」 「悪い?」 「悪くはない」 「じゃあ、ほっといて」 「ねぇ、吉高さん、こいつ2人きりの時ってどんなやつ?」 「えっ!」 「お前、そういうの聞くのやめろ」 「何で? 知りたいじゃん。吉高さん、どう?」 「えっと……や、優しい」 顔を赤くして答える瑠奈を見て、山里はふてくされた顔をする。 「やっぱもういいや。昼、冷めないうちに食べよー」 「今の感じ悪い」 「吉高さん知ってた? こいつ、吉高さんがいない時に『吉高って可愛いよなー』って、すっげぇうるさかった」 「山里、これ、卵焼きやるから黙って」 「それにさー」 「アジフライもやるから」 「ふんっ」 お昼を食べ終わると、第二外国語の選択が違う山里が2人を置いて先に行ってしまった。 太陽と瑠奈も選択は違うものの、途中まで一緒に歩いた。 「あいつ、『吉高』『吉高』って連呼して……」 「名前だから」 「そうじゃなくて……なんか、他のやつが名前呼ぶのって……」 「何?」 「……特別がいい。だから、瑠奈って呼んでいい? オレだけ特別に」 「あ、うん」 「オレのことは?」 「えっ? えーっと……たかやす……くん」 「呼び捨てでいい。『くん』とかつけられたら恥ずい」 (名前を呼び捨てにするのは恥ずかしくないの?) 瑠奈はそう思いながらも、太陽を下の名前で呼ぶことにふわっと幸せな気持ちになった。 (『特別』……だって)
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