瑠奈の日記

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********************* ×月×日 奈帆に相談した ********************* 病院のベッドでからだを起こして、瑠奈は言った。 「困ったなぁ、って思って。太陽のことどんどん好きになっちゃうの」 それを聞いた奈帆は、ようやく瑠奈が「生きたい」と思うようになったのだと喜んだ。 「だったらさ、ほら、心臓移植の意思を伝えようよ。瑠奈は『心臓移植をしない。誰かの死を待って生きるのは嫌』ってずっと言ってたけど、移植ができたら大丈夫なんでしょ?」 「心臓移植の待機期間は平均5年以上だよ? すっごく運が良くて移植できたとしても、拒絶反応とか薬の副作用とかいろんな問題で、移植して3ヶ月以内に亡くなる確率は13~15%」 「え……」 「わたし、いろんな数値が悪くなりすぎて、もう、待ってる時間がない」 「やだ。やだやだやだ。嫌だよ、瑠奈、何か方法あるよね? ねぇ、先生に相談しよう?」 「ごめんね、奈帆」 「どっか、海外とかすっごい偉い人とかならなんとかなるんじゃないの?」 「ずっと、わかってたことだから。いつかはこうなるって。だから誰とも仲良くなるのはやめようって思ってたのに。ごめんね、奈帆。友達なんかになっちゃって」 「やめてよ。友達になりたかったのはわたしの方なんだから」 「……わたしが死んだら、太陽の心の中にも残ってしまう」 「なんで? ダメなの?」 「そんな悲しい思い出を引きずっていて欲しくない。わたしのことなんか早く忘れて幸せになって欲しい」 「そんなこと言わないでよ」 「あの時もっとああすれば良かったとか、あの時どうしてあんなこと言ったんだろうとか、何度も何度も後悔させてしまう」 「瑠奈……」 「今だって、奈帆のこと泣かせてる」 「わ、わたしは後悔なんかしないからね! ずっとずっと楽しかったから。わたしの方から瑠奈と友達になったんだし。だから、日下部くんだって瑠奈と会えたこと後悔なんかするわけない」 「どうしよう……見ていただけの時より、もっと太陽が好き」 泣き続ける瑠奈の手を、奈帆も泣きながら握った。
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