♯18 清らかなる中毒

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♯18 清らかなる中毒

 ――まだ回復してない。けど力を抑えてやるしかない!  タモちゃんは腹をくくって立ち上がり。 「火がダメなら……」  噴水があった場所へ念を撃ち込んだ。  崩壊した礼拝堂の中から水柱が立ち上がる! 「妖力フリーイング!」  タモちゃんの髪の毛が清浄なる霊水に染め上がっていく――。 「天翔龍撃水(てんしょうりゅうげきすい)!」  水柱が光り輝く龍に変わって、傀儡に食らいつく!  が!  傀儡は紙一重(かみひとえ)でそれを躱した。  龍から放たれた水しぶきがジュテームたちを捕らえている黒い靄にかかったとき。  靄を溶かすような湯気を放って、色が若干薄くなった。  ――!  傀儡はなんだか呆けた表情になっている。  まるで気持ちのいい温泉にでも浸かってかのよう。  そうかと思えば。 「ダメ! ダメ! ダメ!」  傀儡が自身を叩いて舞い上がった。  靄も再び黒さを取り戻す。  ――いまのなに? 水が好きなの?  崩れた礼拝堂の十字架がタモちゃんの目に留まる。  ――いや、違う……。聖水か! 「傀儡! おまえ、聖なるものが好きなんだろ!」  タモちゃんが指摘すると。  傀儡はドキリとのけぞりながら。 「ないない! エディモウィッチさまの分身である私が、そんなわけない!」  手をぶんぶん振って否定する。  なんだか、怪しい。  デッドリィが屍使いのくせに信心深くて、聖剣ですら平気だったことがある。  タモちゃんは試しに聖水で作った龍を、傀儡へ突進させてみた。  と思わせておきながら。  直前で狙いを外して方向を転換させてみると。  傀儡が露骨に残念そうな顔になった。 「やっぱり! 大好きなんだあ!」  タモちゃんがニッタリ笑うと。 「違うってーーっ!」  傀儡は両手と顔をぶんぶん振るう。 「みんなを解放するなら、聖なる龍を浴びせてあげてもいいわよ?」  タモちゃんが甘い声色で誘惑するが。 「そそ、そんなことで! 解放するわけがない!」  傀儡が頑なに突っ張りのけるので。 「じゃあ、聖なる龍はしまっちゃおうっかなー」  タモちゃんが軽く脅してやると。 「なにを言ってる! それで攻撃するんだろ! 早くっ、私をやっつけてみろっ!」  傀儡がハアハアして、目の色が変わってきた。 「わかった。いま攻撃してあげる!」  タモちゃんは傀儡を狙うと見せかけて。  黒い靄のひとつに龍を直撃! 「あひゃーーーんっ」  なまめかしい悲鳴が甲走った!
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