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♯22 また1歩から!
「生きていたのか!」
「しぶといな!」
タモちゃんとエターニャが活気づく。
「クグツ! まさかまだやる気っ?」
デッドリィが声を荒げるが。
「でも邪悪な魔力は感じられませんよ?」
「敵意はなさそうです」
半と鈴鹿が皆に平静を促した。
「安心して。私はもう操り人形なんかじゃないよ!」
傀儡が身軽に飛び回ってみせると。
「エディモウィッチの体の一部をぜんぶ取り除いたら、残ったのはそれだけになった、ってところだな!」
「そうそう! もう、めちゃスッキリ!」
傀儡がエターニャに、凝りがなくなったと肩をぶんぶん振って回してみせる。
「だからね、もう『クグツ』なんて呼ばないで!」
傀儡がバッテン印に飛び回るので。
タモちゃんは「それなら」と熟考して。
「モスキート女でどう?」
「そんなのヤダ!」
「血ぃ吸うたるぞ少女!」
「そんなギャグみたいな名前ヤダッ!」
「ええ~……、じゃあ、バニーおじさんで」
「それだけは絶っっ対にヤダーーッ!」
「わがままだな」
悩み込むタモちゃんに。
「とりあえず、小さいという意味の、クライネさんでどうですか?」
鈴鹿が助け船を出してあげると。
「それでいいじゃない! あんたの気に入った名前ができたら、そのとき教えてよ!」
デッドリィも気に入ったようで。
「しょうがないなぁ。しばらくはそれでいいよ!」
クライネは渋々というような態度を取りながらも、満足げに首肯した。
「クライネはこれからどうするの?」
タモちゃんの問いに。
「どうしようかなぁ……。ついて行ってもいい?」
クライネが涎を垂らしてタモちゃんを見つめるので。
「さてはケーキが目当てだな。まあ、あたしたちは別にいいんだけど……」
女子がジュテームを、じ~~っと見る。
ジュテームは「またかよ」という顔をしたのち。
ため息をついて。
「ったく、これ以上貧乏になっても…………。いや? ちびっこいのが増えても問題ねえか!」
「やったーーーーーっ!」
クライネが大喜びで飛び回る。
「にしても、町をめちゃくちゃにしちゃって。当分の間、隠れとかなきゃダメよ?」
デッドリィが戒めるが。
「大丈夫。町の再建に貢献するから!」
クライネは親指を突き上げた。
「その体でどうやって?」
半が小首をかしげるのを。
「クライネにできるのは応援クライネ!」
クライネは肘を曲げて、力こぶしを作って見せた。
「なにそれ。クライネ・ギャグゥ?」
デッドリィたちがぷぷっと笑い合う。
「それにネ! クライネは復元阻止の魔法を解除できるよ!」
「だったら町の再建に貢献できるな! 広域復元魔法ならエターニャに任せとけ!」
「でもでも、再建できたとしても、エディモウィッチにレジスタンス支部の場所がバレちゃってますよね。どうします?」
鈴鹿が腕組みをして項垂れると。
皆も腕組みをして項垂れた。
「さて、どうすっかなぁーーー」
ジュテームが伸びをして、頭の裏で手を組むと。
タモちゃんたちも頭の裏で手を組んで。
「帰ろ、帰ろ~~」
ぼちぼちと。
瓦礫の町を歩き出したのでした。
第5章へ つづく!
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