♯13 すこぶるスコヴィル値

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♯13 すこぶるスコヴィル値

「辛ぅーーーーーっっ」  半にクライネ、鈴鹿にデッドリィが大絶叫。  舌を真っ赤っかにして気絶した。 「ああっ、何をしたっ!」 「バカめ! そのあんまんには激辛唐辛子がたっぷり仕込んであったのさ!」 「あんこに唐辛子を入れるなんて卑怯よ!」  タモちゃんが異議を申し立てるも。  ロナは「確認しなかったおまえらが悪い」と受けつけない。  だが、その直後! 「あひ~~~~~っっ!」  まだ見ぬ強敵四人組も真っ赤っかの舌を突き出して。  バタリ、バタリと卒倒してゆく。 「なっ! なにがどうしたああっっ?」  ロナがまだ見ぬ強敵Aを抱き起こすと。 「裏をかかれてもいいように、カレーまんにも唐辛子をいれてたのを忘れてたぁ……」  そう言い残して、まだ見ぬ強敵たちは気を失った。 「まさか全部に入れて食ってしまうとは、なんてお茶目なおマヌケさんなんだ! ()い奴!」  ロナはまだ見ぬ強敵Aのまぶたを手でそっと閉じてやり。  胸で手を組ませてやって。  涙を流した(振りをした)。 「やすらかに、眠れ……! ぷぷっ」 「おい、殺すな……!」  ロナは半笑いのまま、仇敵とばかりにタモちゃんを睨みつけ。 「やめだ! やめだ! 海に来てまでパン食い競争なんてやってられるか! やめさせてもらうわっ」 「言い出しっぺは、おまえだろっっ」 「やっぱり砂浜と言ったらビーチバレーよね!」  ロナは砂浜に棒でコートを描きながら。 「このビーチバレーは普通じゃないぞ! ボールが時限爆弾になっていて、相手の陣地で爆発させて、プレーヤーを全部やっつけた方が勝ち! これでどうだあっ!」  楽しそうに訴えかけてきたが。  タモちゃんとエターニャがなにも言わずにじっと見据えていると。 「やるだろぉっ?」  ロナが今にも泣き出しそうに頼み込むものだから。 「もう、やってあげるわよ!」 「また自滅してもしらないぞ」  タモちゃんとエターニャは「やれやれ」と両手を広げてコートに入った。 「タモちゃんたちって、いい奴らだな!」  ロナはあどけない笑顔を見せつけて、まだ見ぬ強敵Eとともにコートに立った。  まだ見ぬ強敵Eからスイカ模様のボールを受け取って。 「これを見ろ! スイカそっくりだが、実はこれが爆弾になっている!」  そしてボールをほどよく上げて。 「いくぞ! そーれっ」  サーブを打ち出すや否や。  ボコンッと鈍くて大きな音が! 「うぎゃーーーっ!」 「なんか変な音したぞ?」  タモちゃんとエターニャの目の前に、割れたスイカがコロコロと。 「これ、本物のスイカらったあああっ」
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