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♯20 あくまで応急処置だから!
デッドリィは落ち着かせる身振りをしたのちに。
「でも、師匠の居場所を知っていそうな人なら心当たりがあるから、その人に会いに行ってみましょ!」
「おおー!」
みな俄然、前向きになってきた。
「タモちゃんとロナちゃんはどうしましょう?」と鈴鹿。
「冷凍保存して運びます?」と半。
「軽くする魔法なら知ってるぞ!」とエターニャ。
「俺が大事に抱きかかえて行く!」
ジュテームがタモちゃんとロナを担ぎ上げようとしたので。
デッドリィは慌ててあいだに入った。
「それだと移動が大変だから、とっ、とりあえず屍人形にしておくわ! そこまでなら何も起こらないわけだし! でへへっ」
デッドリィのにやけきったヨダレ顔を、みなが半目でじっとりと見る。
「なんか嬉しそうですね」
鈴鹿のいぶかる声に。
「これはね、これは応急処置なのよ! そう! 別に趣味が叶ったとか思ってないし!」
デッドリィが正当性を力説する!
「例えばぁ?」
エターニャが問いかけると。
デッドリィは緩んだにやけ顔になって。
「屍人形だからって、いろんなところをマッサージしてもらうとかぁ……、あはっ、ご飯を口移しでもらうとかぁ、あぁはあはっ、そんなのやらせようとか考えてないからねぇ!」
「やらせる気だ……」
みなが疑いの目を見せる。
「ホントだって!」
「じ~~~~っ!」
「疑り深いなあ、もう! オトサネ・エナンギェイナ・ノーオルッ!」
「あ、ごまかして、ごり押しした!」
タモちゃんとロナが屍人形になって。
「うがーーっ」
「屍タモちゃん、屍ロナちゃん、あたしたちについてきてね!」
「うが! うが!」
屍タモちゃん、屍ロナが従順に頷くと。
「いい子すぎるうっ。なんか催眠マンガの主人公になった気分だわ! はあ、はあ」
デッドリィが肩を揺らして興奮し出した。
「じ~~~~っ!」
「もうっ、なにもしないってぇ! ねえ、タモちゃんっ! こしょこしょーーっ!」
デッドリィがタモちゃんの脇腹やいろんな所をくすぐると。
「ヤメロ!」
屍タモちゃんがぺちんと頭を軽く殴った。
「抵抗できんのかいっ」
みなが安堵するなか。
「さすがタモちゃんだあ。あはは~っ、さあ行こう! 目指すはヨルダンよ!」
デッドリィは拳を突き上げた。
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