♯23 全面展開フルパワー!

1/1
前へ
/205ページ
次へ

♯23 全面展開フルパワー!

「入れってことみたいだな。みんな気をつけろ」  ジュテームはみんなの先頭に立って、遺跡の中へと踏み込んだ。  ウリ・ホジヌの内部にもたくさんのロウソクが灯してあったが、天井がやけに高くて全体的に薄暗い印象だ。  夜だというのに空気は生暖かく、肌にまとわりつく感じがして心地が悪い。  石畳の通路を進んでいくと、数百畳はありそうな大広間に出た。  中へ踏み込んでしばらくしたとき。  屍タモちゃんと屍ロナが唸りだす。 「囲まれてるな」  ジュテームたちに緊張が走るなか。  四方八方からゾロゾロと現われたのは。 「屍人形かっ?」 「ここで間違いなさそうですね」 「でも歓迎されてはいませんよ」  エターニャと鈴鹿と半が身構えた。 「デッドリィしゃま、お師匠しゃまと喧嘩しているの?」 「そんなつもりはなかったんだけど」  クライネとデッドリィがひそひそ話をしていると。  チャコールグレーの肌をして、ショッキンググリーンの服を着飾った屍人形が。 「来っぞ!」  一斉に襲いかかってきた。 「魔忍法(まにんぽう)下肢(かし)釘付(くぎづ)けの(じゅつ)!」  半が咄嗟に屍人形の動きを止めると。 「これぞ豪快(ごうかい)豪傑(ごうけつ)一点突破(いってんとっぱ)(いそ)いでんだよっ、邪魔(じゃま)してんじゃねぇえええーーーっ!」  ジュテームが衝撃波を撃ち放って、豪快に薙ぎ伏せていく。  そのコンビネーションを繰り返して楽勝かと思われたのだが。  いくら屍人形を倒しても、闇の中から無尽蔵に現れ出してくる。 「切りがねえな。ここは俺と半に任せろ。先に行け!」 「ご武運を!」  デッドリィたちはジュテームと半に援護を貰って大広間を駆け抜けた。  その先には。  中央に水辺と松明で囲まれた、石造りの円形闘技場があって。  周囲は無限に広がる石畳になっている。 「わっ、この水辺、電気が流れてる!」  クライネが水辺に差し入れた指からビビッと感電して乱舞した。 「ずいぶん物騒な宝物殿だな」 「エターニャさん、たぶん入り口から異空間に入れ替わっていたんだと思います」 「鈴鹿の言うとおり。ここは本来の遺跡内部じゃないわ」  デッドリィたちが闘技場の中心へさしかかったとき。  上から人が落ちてきた。  みなが咄嗟に四方へ飛び退く。  大きな一枚布を全身に何枚も巻き付けたような、エメラルドグリーンのドレス(身なり)で。 「あたしの屍人形(コレクション)になりたいの? あら、変わったおもちゃもいるじゃない!」  布が作る影の向こう側で、ヒスイ色の目玉がギラリと光る。 「ヲロアトクネ・デキ!」  その目を見た途端に! 「っく……くくくくく……きゃはははは!」  デッドリィたちが笑い始めた。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加