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♯25 師弟の着眼点
デッドリィたちが笑いの毒から解放されたのを受けて。
襲いかかってきた屍人形も大人しくなったようで。
ジュテームと半も加勢にやってきた。
「弟子が成長したかどうか、ちょっと試していただけで、本気じゃないさ。ゆるしておくれ」
わびるシャンプールにデッドリィは駆け寄って。
「お師匠さま、毒を解いてほしいんです!」
「いま解いてやったじゃないか!」
「笑い上戸じゃなくて、タモちゃんとロナちゃんにかかってる毒です!」
デッドリィはふたりを指さした。
「この屍人形のかい……?」
シャンプールがじっと見据える。
「なるほど……、やっかいな毒がかかっていたんだねえ」
「屍人形の魔法を解くと、すぐに死んでしまうんです!」
「屍人形に毒が効かないだけで、ずっと消えずに残っているからねえ。それをなんとかしなきゃ、どうにもならないよ」
「解除できませんか?」
鈴鹿のお願いに。
「解除できないね」
シャンプールが即座に返す。
「そんなあ!」
「お師匠さまでもダメなんですかっ?」
「希望がついえた……」
クライネにデッドリィ、エターニャが意気込みを失うが。
「まあ、待ちな! 解除はできないけれど、相殺だったら可能だね」
シャンプールが聞き慣れない言葉をいったので。
「相殺……? って?」
デッドリィが頭をかしげると。
「デッドリィ、あんた今から毒魔法を勉強しなおすかい!」
「遠慮しておきまぁっす!」
デッドリィが天真爛漫に最敬礼をして拒絶するものだから。
シャンプールは怒る気力が萎え失せた。
「まったく。毒をもって毒を制するってやつさね。毒は弱くすれば薬にもなるってことぐらい知ってるだろう?」
「どうやるんですか? えへへ」
デッドリィが照れ笑いをしてシャンプールに寄り添うと。
「見てな。サズンタヤユ、コアヒキ・サチヂクレ!」
松明の炎や水辺に大地、そしてシャンプールの手の冷気から、もっちりとしたエナジーがぷるんと飛び出してきた。
それらが宙で混じり合って、七色に光り輝くと。
パウダーのように砕け散って、屍タモちゃんと屍ロナの体にキラキラと降りかかっていく。
「わっ、肌つやが良くなった!」
「いいな! いいな!」
鈴鹿やデッドリィが熱狂するも。
「見るのはそこじゃないっ!」
シャンプールにどやされる。
「いや、俺には違いがわっかんねえな……」
ジュテームが目を凝らして眉根を寄せると。
「あんたもかいっ」
と、雷が落ちてきた。
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