♯7 喧嘩上等?!

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♯7 喧嘩上等?!

 短いツインテの女子は、ベリーショートの生徒を突き飛ばすように押しのけて、中央に立つと。 「私は菜乃花(なのか)、こっちの冴えない子は菜乃葉(なのは)。こう見えて私たち双子なの。学年は小5。自己紹介は以上よ」 「待って。うちも……」 「いいから席に着きなさい!」 「どの席に? まだ聞いてない」 「そんなの決まってないの! どこでもいいから行きなさい!」  菜乃花が菜乃葉を突き飛ばす。  菜乃葉は教壇からつまづき倒れて、タモちゃんの席の横でうずくまった。 「だいじょうぶっ? ちょっと何するの!」  タモちゃんが菜乃葉に声を掛けて、菜乃花をクッと睨み上げると。  慌てて菜乃葉がタモちゃんを制止した。 「うちは大丈夫だから! 菜乃花に盾突いちゃだめ!」  しかし忠告も虚しく。  菜乃花がタモちゃんをにらみ返した。  菜乃葉をさらに蹴飛ばし、押しのけて。  タモちゃんの真横で真上から、威圧的に見下ろした。 「あなたが強いって噂のタモちゃんね。この際だからこのクラスで誰が1番強いのか、決着つけましょ」 「またか……」 「なぁに? 怖じ気づいてるの? 私の下僕になるなら決闘はなしにしてあげてもいいわよ?」  菜乃花がふんぞり返ってほくそ笑む。  タモちゃんは腕組みをして。 「いやー、始める時間をこちらで決めても構わないなら、つきあってもいい」 「それくらいのハンデ。いいわ。そのかわり、今日やるのよ! 逃げられたら困るしね」 「ちょ、なに勝手に決めてるの!」 「先生、ふたりを止めて下さい!」  見かねたデッドリィと鈴鹿が宇補先生に助けを求めるが。 「人間関係(こういうこと)は初めが肝心です。気の済むまでやり合いましょう! うほ!」  争闘を助長するものだから。 「先生が喧嘩を推奨してるぅーーーっ!」 「ダメです、このせんせーーーっ!」  わーいとクライネが大喜びをして。  半は四つん這いで項垂れた。 「いい先生じゃない!」  菜乃花がさらにふんぞり返る。 「ただし授業中はダメよ? 放課後にしてね」  宇補先生は菜乃花と頷き合いながらスマホを取り出し。 「午後4時から第7グラウンドが開いてるわ。そこでどうかしら、うほ!」  タモちゃんと菜乃花の肩に手を置いた。 「4時7分ごろからでもいいか?」 「7分? なにその中途半端な時間! まあ、いいわ! コテンパンにしてあげる!」  菜乃花はタモちゃんの拳に自分の拳ををガツンと合せて、瞳を激しく燃え上がらせた。
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