♯10 新たなる刺客

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♯10 新たなる刺客

 急旋回の放物線を描いたのち。  真っ逆さまに急降下! 「わ、わっ、わあっ! こっちくるなぁああっ!」  菜乃花に頭から突っ込んだ!  もの凄い音が鳴って。  ごっつんこ!  菜乃花はぐるぐる目を回して――。  仰向けに倒れてしまった。  宇補先生のジャッジが入って。 「勝負ありです、うほ!」  ワーッと歓声が湧き上がった。  それと同時にタモちゃんの肌がチャコールグレーから元の肌色へ戻っていく。 「屍人形もどきの身体能力、くせになりそう」  タモちゃんが爽快感に酔いしれているところへ。  鈴鹿たちがタモちゃんにジャンピングハグ! 「タモちゃん、やりましたね!」と、鈴鹿。 「格好良かったです!」と、半。 「妖術使ってないけど、いいのかな」  タモちゃんが、はにかんで見せるが。 「勝ちは勝ちよ!」 「誰も魔法で決着つけると言ってない」 「どっちが強いかってだけ、菜乃花は言ってた!」  デッドリィとエターニャとクライネが「問題ない!」と、そろって口にした。  そのとき。 「おーーいっ」  大慌てでジュテームが駆けてきた。 「ジュテームッ? どうして学校にいるのっ?」 「購買にケーキを卸すことになってよ。いや、そんなことより、お嬢! マジカリストが出たってのにちっとも応答しねえから!」  それを聞いた鈴鹿が急いでスマホを取り出して。 「ノゴエコ市にマジカリストが出たみたいです! 決闘に夢中で気づきませんでしたっ」  しくじっちゃったと顔をしかめる。 「マジカリストッ?」  宇補先生や菜乃葉の介抱を押しのけ、菜乃花も飛び起きた。 「てゆか、ノゴエコ市ってどこよっ?」  タモちゃんが鈴鹿に問うと。 「ナアゴト県です! ボクたちのいた地球で例えるなら新潟県長岡市!」 「日本か! 近いな。鈴鹿、行こう!」  鈴鹿はタモちゃんに頷いて。 「わかりました! 飛行(ひこう)滑空(かっくう)天翔(あまかけ)る、()せて(そら)()べ、疾駆(しっく)招来(しょうらい)!」  瞬間移動の神通力を唱えたが。 「待ちなさい! それじゃ移動できてもマジカリストを探さなきゃいけないでしょ!」  菜乃花は魔法のスマートウォッチを操作して、目の前にポータルを作って見せた。 「これはマジカリストが出たら、その場に直通できる専用ポータルよ!」 「そんな便利なものがあるのか。エターニャたちにもひとつ欲しいな」  エターニャが興味深く感心すると。 「ジョポンの魔法技術を舐めないでよね。さあ、入って!」  菜乃花は高飛車な態度を取り戻して、ポータルの中へ飛び込んだ。  安全なのか、少しためらっていたタモちゃんたちに。 「大丈夫だから、ついてきて!」と、菜乃葉が飛び込んで見せると。 「大至急、加勢に行って下さい、うほ!」  宇補先生にも促されて。  タモちゃんたちもポータルへ飛び込んだ。
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