♯17 隠されし秘宝

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♯17 隠されし秘宝

「なにこのエステ。身も心も生まれ変わった気分だわんっ!」  お肌がつやっつやになったアマツカゼがキュンとなる。  みながうずくまって倒れているのに気がついて、アマツカゼはすぐさま。 「はっ! こあひき・さともう!」  治癒魔法を唱えると。  タモちゃんたちの体力が、ひと息のもとに快癒した! 「ぷはーっ。干からびて死ぬかと思った」  タモちゃんが尻餅をつき、肩を揺らして深呼吸をする。 「タモちゃん、ごめんなさい。不覚にも、わたし自身が魅了されていたみたい。みんなも許して」  アマツカゼが深々と頭を下げる。 「アマツカゼが無事でよかった」 「今回ばかりはどうなるかと思ったわ」 「マジカリストにはよくあることです」 「あの方の魅了は強烈だからな」 「クライネもその気持ち良くわかる!」 「拙者も……! 魅了はされてなかったですが、それなりにわかりますっ、あはっ!」  みなが「いいよ、いいよ」と力の抜けた手でパタパタする。 「それよりも、治癒魔法を唱えられるなんてすごいじゃない!」  タモちゃんがアマツカゼをもてはやすと。 「そ、それほどでもないけれど! きゃわんっ。タモちゃんに褒められちゃった!」  アマツカゼがタモちゃんにキュンキュンする。 「でもタモちゃん、どうして命を削ってまで助けてくれたの? 自業自得だし、見殺しにだってできたのに」 「アマツカゼが言ったじゃない。あたしは敵でも見殺しにできない性格だって」 「信じていなかったのか?」 「これで本当だってわかりましたね!」  タモちゃんにエターニャ、半たちが人なつっこく笑いかけてくるものだから。  アマツカゼも自然と笑みが込み上げてきた。 「お詫びにひとつ良いことを教えるわ。埋蔵金と一緒に、蓬莱が隠されているらしいの」 「ほうらい?」  みなが首を傾ける。 「もしかして、竹取物語に出てくる不死の薬のことですかっ?」  鈴鹿の名答に。 「そう! もし掘り出すことができたら、タモちゃんにあげちゃう!」  アマツカゼが瞳をキラキラ光らせた。  タモちゃんたちは目を丸くして。 「不死の体になれば」 「いくら妖術で寿命を削っても」 「死ななくなるわね!」 「最強じゃないですか!」 「さっそくみんなで」 「掘りに行こーーーっ!」  みんなでガッツポーズを突き上げた。  しかし、アマツカゼは少し顔を曇らせて。 「ただ、ひとつ気がかりが……」 「なぁに?」 「この宝の地図を渡したのが、あの人だってこと」 「エディモウィッチも不死の薬を狙ってるかもしれないってことね」  タモちゃんが腕組みをして煩悶すると。  みなも頭を抱えだした。 「すごいお宝なのに、あの人自身が自分で掘りに行かないってのも変よね」  デッドリィがそう言うと。 「今までの経緯からして、ボクたちが手を握ることを見越しているとしたら……?」 「罠だという可能性が大アリですね」  鈴鹿と半が慎重に頷き合う。
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