♯21 お宝があるところには。

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♯21 お宝があるところには。

「飛べっ、飛べっ、飛び移れ~~~っ!」  ジュテームと半がいち早くロープのはしごに飛びついて手を伸ばし。  クライネやエターニャが飛び上がったところへ、みなが抱きついた。  命からがらロープのはしごを掴んでぶら下がると。  ロープのはしごが加速しながら移動し始めた。 「今度はどこへ連れて行かれるのよーーっ!」と、焦るタモちゃん。 「アトラクションみたいでワクワクするねーーっ!」と、喜ぶクライネ。 「悪い予感しかしないからーーっ!」と、不安になるデッドリィ。  やがて、ペイッと振り落とされ。  みなが運ばれていったそこは。  ふたつの頭を持った、クモの像がうじゃうじゃ立ち並ぶ大回廊だ。  前方に頭がふたつあるのではなくて。  前と後ろに顔がひとつずつあるクモだ。  斧を持っているその巨像は全身がガイコツで、身長がみなと同じくらいある。  それが道幅八メートルほどの両脇に、ずらりと並んで立っていた。 「ここ、なぁんか、怪しくなぁい?」と、ロナ。 「映画なら絶対こいつら動き出す!」と、エターニャ。  クライネがガイコツの巨大クモに近づいて。 「危ないよ!」  みなの警告も気にせず、じーっと見つめていると。 「これ、ガイコツじゃないよ!」  クライネが何かに気がついた。 「なんだって?」  みなも目をこらして巨大クモに近づいてみる。 「ガイコツみたいに見せた、ロボットだ!」  クライネが飛び退いた。 「ロボットッ?」  みながそう反復した途端。  ガイコツの巨大クモが目に光を宿して動き始めた。  走れ!とジュテームに背中を押されて。  みながガイコツロボットの巨大クモに挟まれた通路を駆け抜ける。  それを雪崩のように、ガイコツロボットの巨大クモが斧を振りかざして追いかけてきた。 「なんでこんなに近代的な罠ばかりの~~~っ!」と、タモちゃん。 「オーパーツッ、オーパーツッ!」と、エターニャ。 「もっと、大岩が転がってくるとかっ?」 「壁から槍がズバーンとかっ?」 「古典的だと思ってた~~~っ!」  アマツカゼやデッドリィ、ロナたちが泣き叫びながら通路を大激走。  そして通路の果てにたどり着いたのが。  光源のない薄暗い空間だ。 「ここまでクモが追ってきませんね」 「空気が変わった気がします」  菜乃花と菜乃葉が、おっかなびっくり、通路にたまったクモを見る。 「ところで、ここはどこ?」 「タモちゃん、声が反響してないことに気づきませんか?」  鈴鹿たちが慎重に辺りを見渡す。  天井は暗くて見えないほどに高く。  周囲も壁まで見通せないほどの、広々とし空間だ。 「なんか地面がじゃらじゃらするな」  エターニャが明かりの魔法を唱えてみると。 「ロアテ!」  床がギラリ! 「やけにまぶしいと思ったらっ……」 「落ちてるの、ぜんぶ黄金だあぁああ!」  デッドリィとロナが手を握り合って跳びはねた。  輪切りにしたサボテンをかたどった、金の装飾品が、見渡す限りの地面に散り積もっている! 「黄金の海原だわんっ!」 「黄金へダァアイブッ!」  アマツカゼとクライネが目を光らせて、黄金を掬い上げては振り撒いた。
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