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♯3 弱点発見!
「指定時間は何時なの?」
「深夜の1時半から2時半のあいだです!」
タモちゃんに鈴鹿が答えるや否や。
「丑三つ時じゃない!」
みなの顔がサーッと青ざめた。
「なので今夜、みんなで集まって行きませんか!」
鈴鹿が気合いを込めて協力を求めてみたのだが。
菜乃花が頬に手を当てて。
「深夜の学校に集まるんですか~~~っ?」
悲鳴を上げた。
「わは! 菜乃花ちゃん、恐いのお?」
「かわいい~~っ」
茶化すロナたちに、菜乃花が。
「なっ、なに言ってんすか! 恐くなんかないですよ! ただ、親にどう言い訳して夜中に家を抜け出そうかなって」
ふんっと強がってみせるので。
「うちら実家じゃなくて、学生寮暮らしだよ?」
菜乃葉がきょとんとして口出しすると。
「菜乃葉は黙ってて!」
菜乃花が膨れっ面になって、真っ赤になった。
「いひーっ、菜乃花ちゃんの弱点発見~~っ!」
にやけ顔のデッドリィの追撃に。
「夜の学校が好きな人なんていないんですっ! みんな恐いんですから、弱点と違いますっ!」
「強がってるところが母性本能刺激されちゃうわんっ」
アマツカゼたちもたまらなくなって。
「うひひーーっ、くすぐるのやめて~~っ」
みなで菜乃花をコチョコチョし始めた。
鈴鹿がひとり、置いてけぼり感に少し憤りを感じながらも。
「とくに、問題なさそうですね……!」
自分でそう締めくくると。
「よし、今夜1時にこの教室に集合だ! それでいいよな!」
「おおーーーっ!」
ジュテームの掛け声に、菜乃花はちっちゃな拳を。
他のみんなは威勢の良い拳を掲げたのだった。
深夜零時五十分の学校は、ゴーストタウンの廃墟のように、しんと静まりかえっていた。
自分たちの吐く息や歩く足音ですら、反響して聞こえてくるよう。
菜乃花は菜乃葉に無理矢理腕を組ませてやりながら、足早に教室へ向かって廊下を歩く。
「ホンットに真っ暗闇ねえっ、もう!」
「夜の学校って静かでいいよね」
「どこがよ! 静かすぎて、不気味じゃない!」
角を曲がったその先に。
「ほら、教室が見えてきた!」
「電気がついてないわ!」
「まだみんな来てないのかな」
菜乃花と菜乃葉が教室のドアに手をかけた途端!
ダンッと開いて。
「なのかちゃあ~~~~んっ!」
両手をだらりと突き出した何かが襲いかかってきた!
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