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♯4 私に任せなさい!
「ひいいぃいいいぃい~~~~~っ!」
「なんだぁ、タモちゃんたちかぁ……」
縦長に固まってしまった菜乃花とは対極に、菜乃葉がおっとりと微笑み返す。
「あれぇ、菜乃葉ちゃんは平気なんだ」
拍子抜けしたロナがつぶやくと。
「はい! うちは度々、丑三つ時にひとりで神社参りに行かされたことがあったので、平気です!」
明るく元気に振る舞う菜乃葉だが。
それを見たアマツカゼやデッドリィたちは。
「えっ、いったい何があったの……」
「それってヤバい儀式なんじゃ……」
背筋を凍らせ後ずさる。
「ヤバいのは菜乃花のほう」
菜乃花の口から飛び出した魂を、菜乃葉が無造作に掴み取る。
「うわあ、菜乃花ちゃんっ、だいじょぶっ?」
「エクトプラズムが出てるーーっ!」
「もどせーーっ、もどせーーっ!」
「3秒ルール! 3秒ルール!」
「菜乃花ちゃん、死んじゃだめーーっ!」
タモちゃんにクライネ、エターニャに鈴鹿に半が大慌てで口の中へ魂を押し込んだ。
そこへ皆の背後から!
「うらめしやーーーーーっ!」
「はぎゃぁあああぁああぁあっ!」
大声で叫ばれたものだから。
全員、硬直したのち、腰砕けでへたり込む。
見上げるとそこには。
「なぁんだ、宇補先生かぁ、びっくりさせないでよ~~~」
見知った顔でほっと安堵するも。
宇補先生は目を三角にして。
「あなたたち、こんな夜更けに学校で何してるんですか!」
みんなをジロリと見渡した。
「なにって、その~……」
タモちゃんは目が泳ぎ。
「もしかして拘禁ですかっ?」
エターニャは最悪のシナリオを覚悟して。
「強制連行だけはご勘弁を~~っ!」
ロナは土下座で宇補先生を拝み倒した。
「何言ってるんですか! わたしは先生ですよ!」
それでも宇補先生の怒りは収まらず。
「そこをなんとか~~~」
デッドリィたちがすがりつくと。
「なんか楽しそうなことしてるのに! 連行してどうするんです! わたしも参加させてくださいっ、うほっ!」
宇補先生がきゃぴっとお辞儀した。
「やっぱダメだこのせんせーーっ」
半たちがはっちゃけるなか。
「それで、何をしているのっ?」
宇補先生が胸を躍らせて聞いてくるので。
「それはですね……」
タモちゃんたちは今までの経緯を、宇補先生に話して聞かせた。
「そんな事情があったんですね! 学校のことなら私に任せなさい! 大抵の悪事はもみ消してあげます!」
「ホントにダメだ、このせんせーーっ!」
「でも頼もすぃーーーっ!」
宇補先生に教育者として残念がる者、惚れ込む者と、タモちゃんたちの反応は様々だ。
「ところで宇補先生はどうしてこんな時間にいるんですか?」
デッドリィが核心的な疑問をぶつけると。
宇補先生はそれはそれは楽しそうにして。
「真夜中に学校へ来るなんて、なんか変な感じでしょ! お化けが出てくるかもしれないし! そんな非日常的なスリルと刺激を味わえるのが、たまらないんですぅ。うへ、うへ、うへへへへ……」
「それで深夜の学校を徘徊してたのね……」
「だいじょうぶか、この先生……」
タモちゃんとエターニャが、無表情のまま口元だけで笑い合う。
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