♯9 負のパワー!

1/1
前へ
/205ページ
次へ

♯9 負のパワー!

 そんななか。 「あっ!」  菜乃葉が待ち望んだ声を上げ。 「なにかあったっ?」  菜乃花たちの期待が高まった。 「折りたたまれた紙が挟まってる……。ちょっとまって」  菜乃葉が引っこ抜き。  開いてみると! 「0点の答案用紙!」  掲げられたバッテンだらけの答案用紙に、みんながぷっと吹き出した。 「0点なんて実在するの!」 「そんなの漫画の世界だけだと思ってました!」 「初めて見たねーっ!」  タモちゃんや鈴鹿、クライネたちが目をぱちくりさせる。  するとデッドリィが。 「もうっ、ロナちゃん! こんなところに隠しちゃダメでしょ!」  目くじらを立ててみせると。  ロナは不敵な笑みをして。 「引っかかったな、デッドリィちゃん!」 「えっ?」 「それは0点に見せかけた、愛の告白! あたしのラブレターなのさ!」 「なにそれっ、はあぁああんっ! ロナさま、ス・テ・キッ!」  ふたりは手と手をチュッと合わせて。 「乗ってくれるデッドリィちゃん、すっき!」 「あたしもロナちゃん、すっき!」  ハートを作って「どうかしらん」という、ふたりのどや顔に。 「なにこれ……」  みながそれを半開きの目で尻拭いする。 「と、とりあえず、本を近づけてみましょう」  鈴鹿が本を寄せつけてみると、強く輝きだして――。  0点の答案用紙をパクリと食べた! 「材料だったんだ……」  タモちゃんたちの肩から力が抜け落ちた。 「本当にこんなので不死の薬ができるの?」 「ものすごく不安なんだけど……」  菜乃花と菜乃葉がつぶやくと。 「0点なんて取ったらさ、最悪な思い出が永遠に残るからじゃない? その負のパワーを永久(とわ)の寿命に利用するんだよ!」 「なんか嫌な薬だなっ!」  ロナの考察に、エターニャが酸っぱい顔になる。 「まあ、次、行ってみようぜ!」  ジュテームの提案に。 「鈴鹿、いま何時?」 「2時10分です!」 「まだいけそうね!」  タモちゃんたちも気持ちを切り替えた。 「もしかして、次もまた学校ですか?」 「半ちゃん、その通り! 次がラストです! がんばって見つけましょーっ!」  そして鈴鹿たちが最後にいざなわれた場所というのが。 「こ、校長室っ?」  一般の教室と違って、重厚感あふれる扉に、タモちゃんたちはたじろいだ。 「クライネ、入るの初めてだーーっ!」 「無断で入ったら絶対怒られるやつだよね」 「大丈夫。宇補先生がもみ消してくれるはず!」  クライネにアマツカゼ、鈴鹿たちが宇補先生を当てにして振り向くと。  宇補先生は首を縦と横に振りながら、ニヤニヤと微笑した。 「それはどっちの意味ですーーっ?」  タモちゃんが扉に手をかけて。 「開いてる!」  ガチャリと開けると。  暗い廊下に光が漏れてきた。 「えっ、校長先生、いるんじゃない?」 「どど、どうしようっ」 「これじゃ探せないぞ!」  デッドリィやロナ、エターニャたちが狼狽するなかを。  宇補先生がみんなをかき分けて前に立ち。  ババンと扉を開け放つ!
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加