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♯12 クライネって!?
「深さ11キロッ?」
「キロってなによ。単位おかしいでしょ!」
デッドリィとロナが眉を吊り上げた。
「この距離じゃ歩いて行けたとしても、もう時間に間に合いません!」
「どうやって海底まで行けばいいのよ!」
アマツカゼと半の、怒りにも似たつぶやきに。
「大深度有人潜水調査船の、しんかい12000なら行けるかもですが……」
鈴鹿が案を述べてみるも。
「調査船、借りられないよね」
「こんな夜中に貸してくれるわけないわ!」
菜乃葉も菜乃花も意気消沈で。
「借りられたとしても、定員オーバーでみんなは乗れない。それに、潜水速度が遅くて深夜3時までに海底に辿り着くなんて到底不可能だ」
エターニャたちはすっかりあきらめモードだ。
「鈴鹿ちゃん、行けない?」
「デッドリィちゃん、移動できても空気がないし、水圧でぺっちゃんこです」
打つ手なしと、みなが口を閉ざしてしまった、そんなときに。
「クライネなら、みんなを連れて行けるかも!」
クライネが元気よく挙手をした。
「おお!」
「なにか特別な魔法を知ってるんだな!」
ジュテームたちの気概が一気に高まったのだが。
「違うよ。クライネが乗ってきた宇宙船なら、深海でも平気ってこと!」
「う、宇宙船~~~っ?」
クライネがとんでもないことを言い出したものだから。
「クライネって、宇宙人なのおっ?」
ロナやデッドリィたちが前のめりになって驚いた。
「正確に言うとね、この宇宙の外の宇宙から来たから、外宇宙人だよ!」
「外宇宙人っ……!」
「なにその外国人の強化版みたいなの! 初めて聞く言葉なんだけど! 妖精じゃなかったのっ?」
「妖精なんて非現実的なものじゃないよ。ただの外宇宙人だよ! 地球は有名な観光地だったから旅行で来たんだ。そしたらあの方に捕まってさー」
「宇宙じゃ地球って有名だったのね……」
「どんなところを観光してるんだか……」
「知的生命体がいる惑星なんて、珍しくもないし、宇宙じゃ双子星も珍しくないんだけどね。双子星のどちらの惑星にも知的生命体がいるっていうのが、ちょーレアなんだ!」
双子星の話を聞いていたタモちゃんが、むかし居た地球を思い起こして。
「あたしをもうひとつの地球に連れて行けたりする?」
クライネに尋ねてみると。
「できるけど、死んじゃうよ!」
クライネは万歳しながら無理だと言った。
「なんで?」
「反物質と物質はひっつくと対消滅しちゃうんだ」
「どゆ? なんのこと?」
「ここは反物質の世界で、もうひとつの地球は物質の世界」
「ん??」
「地球の言葉で説明するのは難しい。でも表現するなら……。宇宙の果てには情報が刻まれている平面があってね。それを投影したのがこの世界。つまり、ホログラム宇宙なの!」
「なぬ??」
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