22人が本棚に入れています
本棚に追加
♯23 望んでいる存在が居るからだよ
「エディモウィッチーーッ……!」
悪夢から目覚めるように、タモちゃんが跳ね起きると!
目の前に!
「……っ! なっ? こんな時に何の用よ! まさかまた下方修正するつもり?」
瑠璃色に輝く人型が立っていた。
創造主には何度も呼ばれていて、もはや見慣れた光景だ。
けれども、なぜだか。
タモちゃんは、妙な違和感を覚えずにはいられなかった。
いつもはメンテナンス・ルームと呼ばれる世界で会っていて。
そこは大地と満天の星空が、無限に広がる空間だった。
ところが創造主の背景に広がるのは、色あせた白い摩天楼群と、夜空――いや、海の底だ!
そして。
見覚えのある黒い靄。
そのなかに、タモちゃんを除いた、ジュテームたちが捕らわれていた。
――ここはチョルンジョー海淵にあるという、古代宇宙人が築いた大都市か?
――そして現れたのが、黒い靄を従えた創造主、ということは。
タモちゃんはすべての疑念を確信へと変えて。
「そうじゃないかと思っていたわ」
物事に動じることなく、創造主に目を呉れた。
「まさか、あなたがっ? とか言って、驚かないんだね」
創造主は軽くおどけて見せたが。
タモちゃんは泰然自若としたまま。
「あたしたちの弱点を敵に教えたり。マジカリストの子たちがエディモウィッチを見たことがないとか。どう考えても怪しいでしょ!」
疑わしき事実を突きつけると。
創造主は図星を指されたと言わんばかりに、ぷっと吹き出して。
「ご明察。僕がエディモウィッチだよ。イケメンに変身してた方が良かったかな?」
「どうしてこんなことをする!」
「主人公を不幸にするのが、僕ら創造主の仕事だからね」
「そんな創作のハウツー本みたいなことを聞いてるんじゃない! あたしたちの命をもてあそぶのはなぜ!」
「望んでいる存在がいるからだよ」
「誰よ!」
「それは教えられない。言えるのは、この宇宙はステージで、君たちは全員アクターだってこと」
「あたしたちを危急存亡に陥れて、アドリブを楽しんでいるとでも言うつもり?」
「宇宙の果てには情報を書き込んだ平面があるって、誰かに聞いたでしょ。そこに台詞が書いてあるから、アドリブとは言えないね。君たちは自分の意思で行動してるつもりだろうけど、あらかじめそうするように決められているだけさ。今この瞬間もだ!」
「操り人形の傀儡師にでもなったつもりか!」
「ちょっと違うね。わかりやすく言えば、舞台監督だよ。決められたストーリーがあるのに、役者が監督に逆らって、違った物語を勝手に作り出すなんてこと、あってはならないことだろう? 役者の君たちが自由に未来を築き上げるなんてことは、ありえないことなのさ!」
最初のコメントを投稿しよう!