♯23 望んでいる存在が居るからだよ

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♯23 望んでいる存在が居るからだよ

「エディモウィッチーーッ……!」  悪夢から目覚めるように、タモちゃんが跳ね起きると!  目の前に! 「……っ! なっ? こんな時に何の用よ! まさかまた下方修正するつもり?」  瑠璃色に輝く人型が立っていた。  創造主には何度も呼ばれていて、もはや見慣れた光景だ。  けれども、なぜだか。  タモちゃんは、妙な違和感を覚えずにはいられなかった。  いつもはメンテナンス・ルームと呼ばれる世界で会っていて。  そこは大地と満天の星空が、無限に広がる空間だった。  ところが創造主の背景に広がるのは、色あせた白い摩天楼群と、夜空――いや、海の底だ!  そして。  見覚えのある黒い靄。  そのなかに、タモちゃんを除いた、ジュテームたちが捕らわれていた。  ――ここはチョルンジョー海淵にあるという、古代宇宙人が築いた大都市か?  ――そして現れたのが、黒い靄を従えた創造主、ということは。  タモちゃんはすべての疑念を確信へと変えて。 「そうじゃないかと思っていたわ」  物事に動じることなく、創造主に目を呉れた。 「まさか、あなたがっ? とか言って、驚かないんだね」  創造主は軽くおどけて見せたが。  タモちゃんは泰然自若としたまま。 「あたしたちの弱点を敵に教えたり。マジカリストの子たちがエディモウィッチを見たことがないとか。どう考えても怪しいでしょ!」  疑わしき事実を突きつけると。  創造主は図星を指されたと言わんばかりに、ぷっと吹き出して。 「ご明察。僕がエディモウィッチだよ。イケメンに変身してた方が良かったかな?」 「どうしてこんなことをする!」 「主人公を不幸にするのが、僕ら創造主の仕事だからね」 「そんな創作のハウツー本みたいなことを聞いてるんじゃない! あたしたちの命をもてあそぶのはなぜ!」 「望んでいる存在がいるからだよ」 「誰よ!」 「それは教えられない。言えるのは、この宇宙はステージで、君たちは全員アクターだってこと」 「あたしたちを危急存亡に陥れて、アドリブを楽しんでいるとでも言うつもり?」 「宇宙の果てには情報を書き込んだ平面があるって、誰かに聞いたでしょ。そこに台詞が書いてあるから、アドリブとは言えないね。君たちは自分の意思で行動してるつもりだろうけど、あらかじめそうするように決められているだけさ。今この瞬間もだ!」 「操り人形の傀儡師にでもなったつもりか!」 「ちょっと違うね。わかりやすく言えば、舞台監督だよ。決められたストーリーがあるのに、役者が監督に逆らって、違った物語を勝手に作り出すなんてこと、あってはならないことだろう? 役者の君たちが自由に未来を築き上げるなんてことは、ありえないことなのさ!」
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